さてそれでは実際に、Web Appsを使ってみましょう。今回はあらかじめ用意されているWeb Appsのテンプレートの中から、「WordPress(ワードプレス)」というCMS(コンテンツ管理システム)をインストールして、会社などのWebサイトを作成してみる例を取り上げます。WordPressが何かについては、以下の解説記事を参照してください。WordPressは、豊富なプラグインや柔軟なカスタマイズ機能のサポートなどにより、Webサイト用CMSとしては世界で50%以上のシェアを占めるメジャーなWebアプリケーションです。
わざわざAzureで利用しなくても、WordPressを利用できるサービスは既に多くあります(しかも料金が安いものも少なくありません)。特に、自動スケールなどが不要な小規模なサイトでは、Azureを利用する必然性はあまりないかもしれません。ここは実用性重視というより、Web Appsの機能を簡単に試す目的で、必要そうな機能がまとまっているWordPressを選択してみました。Web Appsのサイト(ギャラリー)には、もっとシンプルな、アプリケーションのスケルトンだけのテンプレートもあります。これらをうまく組み合わせれば、痒いところに手が届くサービスを作れるでしょう。けれどこれにはプログラミングが必須なので、Web Appsの紹介が目的の今回のサンプルにはあまり適していないのです。
Web Appsのテンプレートには、非常にシンプルなアプリケーションスケルトンからWordPressをはじめとする大規模なものまで数多くそろっています。テンプレートを利用すれば、自分で最初から作らなくても、比較的手軽かつ確実なサービス構築、運用が可能になります。今回はWordPressを例にしていますが、提供されるテンプレートをうまく使ってサービスを構築できるようになりましょう。クラウドなら、間違ってインストールしても、すぐに削除したり作り直したりもできるので、いろいろと試してみるのにも適しています。
なお本記事ではWordPressの使い方や管理方法については触れません。必要ならWordPressのサイトにあるドキュメントや、以下の解説記事などを参照してください。WordPressのシステムにはGUIの管理機能画面も用意されているため、インストールさえ完了してしまえば、その後の管理は、どのプラットフォーム上で動作していてもほぼ同じです。
まずはWeb Appsをインストールします。これには、Azureの管理ポータル画面の新規追加メニューから「Web + モバイル」を選び、「WordPress」というアプリを選択するだけです。なお以下の手順で作業を進めた場合、仮想マシンの種類(サイズやリージョン、価格レベルなど)を選ぶ選択肢は特に表示されません。それぞれ適当なものがデフォルトで選択されています(米国中南部リージョンなどですが)。
そのため、仮想マシンを新規作成するときよりも手順は簡単になっています(仮想マシンの場合は自分で選択していました。連載第1回参照)。もちろん、後でそれらを変更することも可能ですが、それらについては次回以降で触れることにします。今回はWordPressをインストールして、初期セットアップを行うところまでを紹介します。
以下、インストール手順を見ていきます。
すると、あらかじめ用意されているWeb Appsが一覧表示されるので、下の方までスクロールさせて(途中で[さらに読み込む]というリンクを何度かクリックしてください)、「WordPress」という項目を選んでクリックします。
[WordPress]の項目をクリックすると次のような画面が表示されるので、内容を確認後、[作成]ボタンをクリックします。
[作成]ボタンをクリックすると、作成するアプリの名前やリソースグループ、利用するデータベースなどを入力する画面が表示されるので、適当なものを入力しておきます。
(3)の「データベース プロバイダー」とは、WordPressで利用するデータベース(WordPressの設定や投稿記事などのデータは全てこのデータベースに保存される)を指定するためのものです。WordPressのシステムを自分で手動インストールする場合、WordPressのインストール前に、あらかじめWordPressで利用するデータベース(MySQL)を用意しておく必要があります。ですが、Web Appsに用意されているWordPressを利用する場合は、この画面で全部自動的に作成・設定してくれるようです。ちょっと便利だな、と思いました。
データベースのインストールや環境設定に慣れている人ならともかく、そうでなければ、データベースを正しくインストールして、設定して、Webアプリと連携するっというのはけっこうな負担です。AzureのWeb Appsでは、テンプレートで自動設定されるんですね。これはけっこうありがたい機能ではないでしょうか。
ちなみに、このデータベースプロバイダーの選択画面では、次のような3つのデータベースが選択できます。
それぞれの意味については以下のページを参照してください。今回はテスト用ということで、一番簡単に導入できる「MySQL In App」を選んでみました。これは「スケールアップ」などには対応できませんが、テスト用にはこれでも十分だと思います。
上で述べたように、ある機能がうまく動かないこともよくありますが、それもすぐに修正されます(たぶん)。クラウドとはそんなものだ、ということで、細かいことはあまり気にせず、どんどん使ってみましょう。
[作成]ボタンをクリックすると、WordPressのアプリのインストール作業が行われます。
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