Gartnerが2017年版の「先進技術ハイプサイクル」を公開。今後5〜10年のデジタル経済における3大トレンドとして、AIの浸透、透過的な没入型体験技術、デジタルプラットフォームを挙げた。
Gartnerは2017年8月15日(米国時間)、「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2017」(2017年版先進技術のハイプサイクル)を公開した。
ハイプサイクルとは、技術の熟成度や市場貢献度、社会への適用度などを計る、Gartnerによる技術分析指針。技術のライフサイクルを黎明期、流行期(「過度な期待」のピーク期)、幻滅期、回復期(啓蒙活動期)、安定期の5つの段階に分けて分析し、市場のハイプ(市場での経験や実証基盤のない過度な期待度)、成熟度、ビジネスメリット、今後の方向性などの観点から分析した情報を提供する。2017年版のハイプサイクルでは、今後5〜10年のデジタル経済の中で企業の存続、繁栄を左右する3大トレンドとして、「AI(Artificial Intelligence:人工知能)の浸透」「透過的なイマーシブエクスペリエンス(没入型体験技術)」「デジタルプラットフォーム」が挙げられた。
2017年版で挙げられた3大要素は、「比類ない知見の提供、全く新しい体験の創造、企業が新しいビジネスエコシステムに接続するためのプラットフォームの提供」というトレンドを形成するものと位置付け、Gartnerはこれらの要素の詳細を次のように説明している。
AIは、根本的な進化を遂げるコンピューティング能力、無限に近い膨大なデータ、ディープニューラルネットワークの急速な進歩によって、今後10年間に最大級の破壊的変革をもたらす技術になる。AI技術を持つ企業は、新しい状況への対応や、未知の問題の解決にデータを活用できるようになる。
こうしたAIの利用を目指す企業が検討すべき個別の技術テーマには以下が挙げられる。
技術は引き続き人間中心性を強め、人、企業、モノの間での透過性が求められるようになる。こうした関係は、職場や家、または企業や他の人との関わりにおいて、技術が適応性、コンテキスト対応、流動性の向上に向けて進化するとともに、相互に深く絡み合うようになる。
企業が検討すべき個別の技術テーマには以下が挙げられる。
今後、「大量のデータの取り扱い」「高度なコンピュート能力」を中心に、「どこでも利用可能なエコシステム」の提供を可能にする技術基盤の革新がさらに要求されるようになる。各種の要素に分割される技術インフラから「エコシステムを実現するプラットフォームへのシフト」が、人と技術を橋渡しする全く新しいビジネスモデルの土台作りにつながる。
企業が検討すべき個別の技術テーマは以下の通り。
2017年版ハイプサイクルでは、スマートワークプレース、コネクテッドホーム、AR、VR、コンピュータブレインインタフェースなどの「人間中心性を実現する技術」が、ハイプサイクルの他のトレンドをけん引する先端の技術になりつつある。
併せて、AIの浸透に関わる技術がハイプサイクルを急速に進めている。2017年版ハイプサイクルでは、ディープラーニング、自律学習、コグニティブコンピューティングといった技術が「過度な期待」のピークを越え、以後は幻滅期へ進む。同時にこれらの技術は、透過的な没入型体験を生み出す技術の主要基盤であることを示している。
デジタルプラットフォームについても同様に、革新的なプラットフォームの提供によって実現されるITの新たな方向を示している。例えば、黎明期のカーブを急上昇している「量子コンピューティング」や、過度な期待のピークを越えた「ブロックチェーン」などの技術が、今後5〜10年間に特に大きな変革につながる影響を与えそうだ。
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