【 mtr 】コマンド――ネットワークの経路と応答を調べるLinux基本コマンドTips(145)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、通信相手までの経路と応答を調べる「mtr」コマンドです。

» 2017年09月21日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]
「Linux基本コマンドTips」のインデックス

Linux基本コマンドTips一覧

 本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、通信相手までの経路と応答を調べる「mtr」コマンドです。

mtrマンドとは?

 ネットワークの経路と応答を調べます。いわば、「pingコマンド」(第143回参照)と「tracerouteコマンド」(第144回参照)を兼ね備えたコマンドです。



mtrコマンドの書式

mtr [オプション] 通信相手

※[ ]は省略可能な引数を示しています。




mtrの主なオプション(テスト方法)

短いオプション 長いオプション 意味
-4 IPv4を使用する
-6 IPv6を使用する
-u --udp UDPを使用する(デフォルトはICMP)
-T --tcp TCPを使用する(デフォルトはICMP)
-P ポート番号 --port ポート番号 TCPで使用するポート番号を指定する
-Z 秒数 --timeout 秒数 TCPコネクションを保持する秒数
-e --mpls ICMP拡張(RFC 4950)を使用する
-c 回数 --report-cycles 回数 テストする回数を指定する
-n --no-dns 名前解決を行わない
-b --show-ips IPアドレスとホスト名の両方を表示する
-s バイト数 --psize バイト数 テストに使用するパケットのサイズを指定する
-a IPアドレス --address IPアドレス 送出に使用するインタフェースをIPアドレスで指定する
-i 秒数 --interval 秒数 信号を送る間隔を指定する(デフォルトは1秒)
-m TTL --max-ttl TTL 最大のホップ数(Max Time-To-Live value)を指定する。初期値は30
-f TTL --first-ttl TTL 表示を開始するTTLの値を指定する(経路を途中から表示する際に使用)
-B 数値 --bitpattern 数値 ペイロードで使用するビットパターンを0〜255で指定する
-Q 数値 --tos 数値 IPヘッダのToS(Type of Service)を0〜255で指定する

mtrの主なオプション(表示方法)

短いオプション 長いオプション 意味
-r --report レポートモードで表示(10回分の計測値を集計して出力、回数は-cで変更可能)
-w --report-wide レポートモードのワイド表示。ホスト名をカットせずに出力する
-x --xml XML形式で出力する
-l --raw RAW形式で出力する
-o 表示フィールドと順序 --order 表示フィールドと順序 表示するフィールドと順序を指定する(-o "LSD NBAW"のように指定する、フィールド名と意味は次の一覧を参照)


指定 ヘッダ表示 意味
L Loss% ロス率
D Drop ドロップパケット数
R Rcv 受信パケット数
S Snt 送信パケット数
N Last 最新の往復遅延時間(RTT)
B Best 最短のRTT
A Avg 平均RTT
W Wrst 最低のRTT
V StDev 標準偏差
G Gmean 幾何平均
J Jttr カレントジッタ(伝送遅延のゆらぎ)
M Javg ジッタの平均
X Jmax 最悪時のジッタ
I Jint パケット到着時間の分散の推定値(interarrival jitter)


経路と応答を調べる

 「mtr 通信相手」で、指定した通信相手までの経路と応答を調べます(画面1)。いわば、pingとtracerouteを兼ね備えたコマンドです。

 結果を画面に表示後、1秒間隔で表示をリフレッシュします。「q」を入力、または[CTRL]+[C]で終了します。

コマンド実行例

mtr www.google.co.jp

(www.google.co.jpまでの経路と応答を調べる)(画面1

mtr -n www.google.co.jp

(途中の名前解決を行わない)


画面1 画面1 mtrコマンドを実行したところ


実行回数を指定する

 表示の実行回数は「-c」で指定します。「-r」や「-w」でレポートモードとなり、画面に結果の表示が残ります(画面2)。「-r」を指定した場合、表示項目の数に応じてホスト名の末尾がカットされますが「-w」の場合はカットされません。

コマンド実行例

mtr -c 3 www.google.co.jp

(www.google.co.jpまでの経路と応答を3回分表示する)

mtr -r -c 3 www.google.co.jp画面2

(3回調べて結果を表示する)

mtr -r www.google.co.jp

(10回調べて結果を表示する)


画面2 画面2 レポートモードを指定したところ


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。