ガートナー ジャパンは、現在の日本のICT市場でITリーダーが押さえておくべきキーワードを選定した。2017年は、これまでのモバイル、ソーシャル、クラウド、インフォメーション(アナリティクス)に代わり、IoTや人工知能、ブロックチェーンといった新しいトレンドが注目を集める。
ガートナー ジャパンは2017年10月3日、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年」を発表した。
ハイプサイクルは、市場に新しく登場した技術を横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を表す波形曲線で示したもの。企業がある技術を採択するかどうかを判断する際の参考指標として開発した。今回発表されたハイプサイクルでは、現在の日本の情報通信技術(ICT)市場で、ITリーダーが押さえておくべき代表的な40のキーワードが選定されている。
新技術は一般に、登場直後は過熱気味にもてはやされ、その熱狂が冷めてからその技術の意義や役割が理解され市場が確立する。ハイプサイクルには、こうした時間経過を、「黎明期」、過度な期待の「ピーク期」「幻滅期」「啓蒙活動期」「生産性の安定期」という5つの段階に分け、各段階で市場の成熟の過程が示されている。
ガートナーでは、2017年は「Post Nexus」の時期に移行したとしている。「Nexus」(Nexus of Forces)は、ガートナーが2012年に予測した「モバイル」「ソーシャル」「クラウド」「インフォメーション」(アナリティクス)という4つのデジタル技術を指す同社の造語だ。今後は「IoT」(Internet of Things)や「人工知能」(AI)、「ブロックチェーン」といった新しいトレンドが注目を集める一方、概念実証(PoC)に積極的に取り組む企業も増えていくという。企業のITシステムは、よりオープンになり、社外システムとつながることで、「デジタルプラットフォーム」というコンセプトが開花する、とガートナーは予測する。
ガートナー ジャパンのリサーチ&アドバイザリ部門でマネージング バイス プレジデントを務める山野井聡氏は、「2017年現在、人工知能やブロックチェーンは、『過度な期待』のピークに差し掛かっており、注目を集めている一方で、これから幻滅期へと向かう下り坂が見えてきた。IoTはすでにその坂を下りつつあり、企業の取り組み姿勢は一時的に慎重になることも予想される」と述べている。
一方、Nexusの4つの要素はどれも幻滅期を脱しつつあり、今後確実な普及が見込める位置に達している。このように「デジタル」を旗印とするさまざまな動きが活発化する一方で、顕在化した問題もあるという。
「1つはセキュリティだ。特にITリーダーは、オープン環境でのサイバーセキュリティ強化に早急な対応を迫られている。また既存のレガシーシステムの最適化も、ITリーダーを悩ませている課題だ。デジタル技術は、企業のビジネスを大きく飛躍させる可能性に満ちているが、それを実現するには堅牢なセキュリティや最適なレガシーシステムアーキテクチャが『バックボーン』として存在することが前提になる。今後は、攻守両面のIT戦略を並行して推進できるITリーダーが、真のビジネスリーダーになるだろう」(山野井氏)
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