“感情AI”が人とマシンのやりとりをパーソナライズするGartner Insights Pickup(39)(1/2 ページ)

AIのおかげで、スマート冷蔵庫があなたの気分を察して、感情に合った食べ物を勧めてくれるようになる。

» 2017年11月17日 05時00分 公開
[Laurence Goasduff, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 「いつか技術が人間のように、人の気持ちが分かるようになるだろうか」。そんな疑問を持ったことはないだろうか。今、スマート冷蔵庫があなたの気分を察して、感情に合った食べ物を勧めてきたら、あなたはどう思うだろう。

 現実離れした、あり得ない話に聞こえるかもしれない。だが、人工知能(AI)やアフェクティブ(感情)コンピューティングがそれを可能にしようとしている。AI、奥行き認識、神経言語プログラミングといった技術が組み込まれたデバイスが、人の感情を認識、分析して反応するようになりつつある。

 「今後、ますます多くのスマートデバイスが特定のデータや事実との関連で人の感情や気分を認識し、それに基づいて状況を分析できるようになるだろう」と、Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるアネット・ジマーマン氏は語る。

これからの感情認識アプローチ

 仮想アシスタントのようなインテリジェントエージェントの台頭に伴い、感情認識システムを搭載したデバイスが登場してくるだろう。現在のインテリジェントエージェントの例には、Appleの「Siri」、Microsoftの「Cortana」、Googleの「Googleアシスタント」などがある。これらは自然言語処理や自然言語理解の技術アプローチを採用しているが、今のところ、人の感情を認識することはできない。だが、人工感情知能(感情AI)がこの状況を変えそうだ。こうしたシステムの次のステップは、ユーザーとのより心地よい自然なやりとりを実現するために、人の感情状態を理解して反応し、より人間らしく感じられることだ。

 インテリジェントエージェントはセンサーで周囲の環境を認識し、アクチュエータでその認識に基づいて動作できれば、あらゆる形態を取り得る。Qihan Technologyの「Sanbot」やソフトバンクロボティクスの「Pepper」のようなパーソナルアシスタンスロボット(PAR)は、人のさまざまな感情状態を識別して反応するよう訓練を受け“人間化”されている。PARは、やりとりする相手の感情に応じて適切な身ぶりや言葉で対応できることを目指している。例えば、Pepperは「相手がやりとりにがっかりしている」と認識すると、申し訳なさそうに対応しようとする。

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