「ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c」資格を取得するための傾向と対策を紹介する連載。初回は、ORACLE MASTERの資格制度や2017年8月に行われた12c Silver試験改訂のポイントについて。
本連載「ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12cの攻め方」では、「ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c」(以下、12c Silver)資格を取得するための「1Z0-062-JPN Oracle Database 12c Administration試験」(以下、12c Silver試験)の傾向と対策を紹介していきます。
初回は、ORACLE MASTERの資格制度や2017年8月に行われた12c Silver試験改訂のポイントを紹介します。
そもそも、資格取得にはどんな意義があるのでしょうか? 「資格なんて取得していなくても、業務で扱っているから技術についての知識は身に付いている」という声もあります。
しかし、業務で身に付けた技術や知識は業務に偏ったものとなり、それだけでは技術を体系的に網羅することはできません。例えば、「セキュリティ要件を満たすために、複雑な実装となってしまった。でも実は、OracleのOracle Advanced Securityオプションを使えば、単純な設定だけで要件を満たせていた」といった話も耳にします。
体系的に網羅するという意味で、資格試験へのチャレンジや研修コースの受講に勝るものはありません。研修コースの受講となると、上司の説得、予算の承認とハードルが少し高くなりますが、資格試験へのチャレンジであれば、「思い立ったが吉日」で、スタートできます。
また、資格というものは一度取得すればそれで“おしまい”なのでしょうか?
製品の機能について、プロジェクトで採用するどうかの意思決定を行うには、主要な新機能についてメリット、デメリット含めて正しく理解しておく必要があるでしょう。その点、最新バージョンの資格への移行は、新機能の知識を身に付けるよい機会となります。
ここで、もう1つ疑問があります。なぜ、今、Oracle Databaseの資格を取得するのでしょうか?
考えてみれば、生活を変えつつあるAI(人工知能)もIoT(Internet of Things)も、大量のデータを蓄積するところからがスタートです。攻めのシステムも守りのシステムも、まずはデータありきというところに違いはありません。データベースは普遍的な技術だからこそ、この流動的で先の見えない時代に習得しておくべき技術といえるのではないでしょうか。
ORACLE MASTERは、Oracle Databaseの管理技術を証明する資格で、認知度の高い資格といっていいでしょう。データベースとして広く使われるOracle Databaseの資格を取得することは、データベース技術を体系的に網羅するために必要であるといえます。
ORACLE MASTERは、積み上げ式になっているのが特徴です。「これから始める方や、Oracle Databaseについて広く浅く全体像を押さえたい方はBronzeを」「小規模なデータベースの構築および日常的な運用を業務とする方はSilverを」「大規模なデータベース管理の助言や、バックアップ、リカバリーなどの高度な対応を業務とする方はGoldを」「ミッションクリティカルな大規模システムを設計、構築する方はPlatinumを」と段階を踏んでチャレンジできます。
新規取得の場合、SQL試験と「1Z0-065-JPN Bronze DBA12c」の2つの試験で「ORACLE MASTER Bronze Oracle Database 12c」(以下、12c Bronze)に認定され、さらに12c Silver試験に合格すると、12c Silverに認定されます。
資格取得パスの詳細はこちらで確認できます。
さて、受験を思い立ったときに初めにすべきことは試験要項と試験範囲の確認です。
ORACLE MASTERの場合、試験範囲については試験要項のページの「試験内容チェックリスト」をクリックすると表示されます。試験に出題されるのは、試験内容チェックリストのいずれかの項目に該当する問題です。
ここからは本連載の主眼である12c Silver試験を紹介します。
12c Silver試験は2017年8月16日に改訂されましたが、改訂後の情報が少ないため、本連載では6回にわたって12c Silverについて傾向と対策を説明します。
改訂では、タイトルが「Oracle Database 12c: Installation and Administration」から「Oracle Database 12c: Administration」に変更されました。そのタイトル通り、試験範囲からインストールおよびアップグレードに関連する内容が大幅に削られています。
改訂前 | 改訂後 | |
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タイトル | Oracle Database 12c: Installation and Administration | Oracle Database 12c: Administration |
出題数 | 95問 | 67問 |
制限時間 | 150分 | 120分 |
合格ライン | 67% | 64% |
「クラウドの時代になり、データベース管理者だからといって必ずしもインストールやアップグレードの作業を行うとは限らない」ということから、インストールやアップグレードの実務レベルの細かい知識までは問われなくなりました。難易度が下がったわけではありませんが、データベース管理に集中して勉強できるので、チャレンジしやすくなっています。
またデータベース管理の部分についても、パフォーマンス関連の内容が少なくなるなど、よりデータベースの“管理”そのものに重点を置いた試験になっています。
改訂前の試験内容チェックリストと現在の試験内容チェックリストを比較します。
インストールについては、「Database Configuration Assistant」(DBCA)の基本的な機能に関するトピック以外は出題されなくなりました。アップグレードについては、概要以外は出題されないと考えてよいでしょう。Oracle Automatic Storage Management(ASM)やOracle Restartも出題されません。
その分、データベース管理に重点を置いた試験となっていますが、データベース管理分野についても以下のような変更点があります。
自動データベース診断モニター(ADDM)や自動ワークロードリポジトリ(AWR)、メモリアドバイザー、アラートしきい値などの自動メンテナンスに関連する機能については出題されなくなりました。再開可能領域割り当ても出題されなくなり、監査もほぼ出題されません。Resource Managerも、Oracle Schedulerとの絡みで出題される程度で、Resource Managerをメインとする出題はなくなりました。
まとめると、従来、実機で試しにくいため難関だったインストールやアップグレードに関する出題が減り、細かい出題が多く受験者泣かせだったResource Managerも出題がなくなったことで、全体的に基礎を重視した取り組みがいのある試験になったといえるでしょう。
なお、改訂後はDatabase Cloudのトピックが少し追加されていますが、こちらについては出題数もわずかなので、軽く見ておく程度でいいでしょう。
連載第1回では、ORACLE MASTERの資格制度や12c Silver試験の改訂のポイントを紹介しました。第2回以降は例題を使って、主要出題分野のポイントを一緒に押さえていきましょう。
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