Oracle Master 12cに対応した認定資格が、いよいよ日本でもリリースされる。資格に興味のある方、取得希望の方、前のバージョンを持っていて移行を希望する方に、概要と試験のポイントを解説する。
いよいよOracle Databaseの最新バージョン「Oracle Database 12c」に対応した認定資格がリリースされます。これまでのORACLE MASTER認定資格と同様に、「Bronze」「Silver」「Gold」そして「Platinum ※」の4種類があり、難易度の高いスキルを持っていることを証明する認定資格です。
この連載では、ORACLE MASTERに興味がある方、これからこの認定資格を取得しようと考えている方、そして、認定資格の意義が知りたい方向けに、1回目は「認定資格の意義」について、2回目、3回目は、認定に必要な各科目試験のポイント解説を行っていきます。
多くの皆さんが、日常業務で扱っているOracle Databaseに関する知識やスキルを客観的に評価される「ORACLE MASTER」認定資格を取得できることを心より願っています。
※ ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c 試験の詳細およびリリース時期は、2014年2月20日現在未定
Oracle Databaseは、長年リレーショナルデータベース・システムとして、米国をはじめ、多くの国々で活用されてきました。ITインフラがクラウド化されていく中で、いろいろな製品の役割や立ち位置は変わっていきますが、最終的に「データを保管し、活用する」ことがITの基本の役割であることには変わりがありません。
最近では、「ビッグデータ」と、まさに「データ」を焦点にしたキーワードが世の中を騒がし、以前にも増して大量のデータを高速に処理、管理できることが重要になっています。
Oracle Databaseは、まさにそうした環境で快適に、安全に、堅固に動作することが求められ、バージョンアップを重ねてきました。最新バージョンの12cでは、「クラウド」や「ビッグデータ」に対応できるような、さまざまな機能追加が行われています。
Oracle Databaseを活用してITシステムを実現するには、この目標を達成できないといけません。言い換えると、データベースは「正常に動作していて当たり前」「十分なパフォーマンスで動作して当たり前」ということなのです。
翻って、Oracle Databaseを利用、運用するエンジニアはこの「当たり前」を実現するために必要なスキルが当然求められます。
また、運用管理エンジニアには、障害が発生することも想定した、普段からの準備(例えば、バックアップをビジネスや性能に影響を与えないように計画して、定期的に取得すること)や、障害が発生したときに、システムの縮退運転時間(最悪の場合は停止時間)をいかに短くするか、いかに短時間で元の状態に戻せるかというスキルが求められているのです。
ORACLE MASTER認定資格は、このために必要な知識やスキルがきちんと習得されていることを示す認定資格です。前バージョンのOracle Database 11gまでに多くのエンジニアの皆さんが取得し、活躍していただいているおかげで、この認定資格は広く業界内で浸透しています。
実際、開発の現場でプロジェクト参加エンジニアの必要条件として、「ORACLE MASTER Gold以上」が求められるケースや、中途採用の前提資格として「ORACLE MASTER Gold以上の方」と記載されていることもしばしばです。
「ORACLE MASTER認定資格」を取得して、エンジニアとしての価値を高めていくことが、IT業界内で大きく成長していくために重要であることがお分かりいただけると思います。ここで挙げた例のように、実際に大きく評価される認定レベルは「Silver」や「Gold」ですが、それを取得するためにも、まずは「Bronze」の認定からです。一歩ずつステップアップしていくことで、ご自身の成長を可視化でき、モチベーションアップにもつながることでしょう。
ORACLE MASTER認定資格制度の全体像は次の章に譲るとして、まずは「ORACLE MASTER認定資格」の内容に関して触れておきます。
とかく「エントリーレベル」と評される「Bronze」認定は、初心者向けと思われがちです。また、「データベース運用管理者向け」と理解されていることも多いと感じます。
確かに、データベースの設定や、バックアップ、リカバリといった管理者トピックは管理者のスキルですが、同時に、Bronzeレベルの管理者スキルは、開発エンジニア(ここでいう「開発エンジニア」とは、Oracle Databaseを使ったシステムを実装するプログラマーや、システムエンジニアを指しています)はもちろん、お客さまへITシステム導入を提案される立場の方々にとっても、知っておいて損はない基本的な知識となっています。
プロジェクトが進み、実装フェーズや試験フェーズ、導入フェーズや運用に移った後に思わぬ障害に見舞われ、たくさんの工数が掛かってしまうことも少なくありません。その原因はいろいろありますが、機能や仕様の基本的な部分を正しく理解していなかった、あるいは過去のバージョンでの知識だったということが往々にしてあります。
「Bronze」認定は「SQL基礎I」という試験と「Bronze DBA」という試験に合格することで取得できますが、開発エンジニアにとって、効果的なSQLを読んだり書いたりできるようになれることは重要なポイントです。同時に、基本的なデータベースのアーキテクチャを理解することで、無駄な処理を引き起こす危険性を、あらかじめ排除できます。
運用管理者の皆さんには、Bronzeにとどまらず、その先の最上位レベルも目指してスキルアップしていただきたいのですが、いずれにしてもBronzeがスタート地点です。この機会に、ORACLE MASTER認定資格取得に向けて知識の整理をしてみましょう。
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