ニュータニックス・ジャパンは2018年2月27日、日本国内における同社ソフトウェア「Enterprise Cloud OS」単体ライセンスの正式提供開始を発表した。このソフトウェアライセンスプログラムは、複数の意味で興味深い。
ニュータニックス・ジャパンは2018年2月27日、日本国内における同社ソフトウェア「Enterprise Cloud OS」単体ライセンスの正式提供開始を発表した。
ニュータニックス・ジャパンのコーポレートマネージングディレクター兼社長、町田栄作氏は、「これ(今回の発表)で100%ソフトウェアベンダーになった」と話した。
今回発表のソフトウェアライセンスプログラムは、さまざまな意味で興味深い。
まず、Nutanixが自社として提供するアプライアンス、そしてDell EMC、Lenovo、IBMに対するOEMライセンスには変更がない。今回発表のソフトウェアライセンスは、OEMライセンスの対象となっていないハードウェアが適用対象となる。
ソフトウェアオンリーライセンスをインストールしてNutanixのサポートを受けられるのは、Nutanixが動作保証リストに掲載したハードウェアに限定される。発表時点ではHPE Proliant、Cisco UCSそれぞれ数機種のみが、国内向けリストに掲載されている。
もともと米Nutanixは、このソフトウェアオンリーライセンスを、ユーザー組織が既に所有するサーバにも適用できるようにと意図している。つまり、動作保証リストに掲載する機種を積極的に広げようとしている。日本では当然、今後国内ベンダーのサーバ製品を対象に含めることが想定できる。町田氏は、その詳細な計画について明らかにしていない。
ただし、今回町田氏は、「これからのニュータニックス・ジャパンの『戦場』は、(狭義のハイパーコンバージドインフラではなく、)年間7000億円に達する国内サーバ市場の約6割を占めるといわれる1ソケット/2ソケットのラックサーバセグメント」と話している。そうであるなら、遅かれ早かれ国産サーバへの対応を進めることになるだろう。
また、図のライセンスプログラム概要からは、少なくとも3つのことが読み取れる。
図左の2つ、つまり「Enterprise Purchase Program」「Volume Purchase Program」は、一般的なユーザー組織に向けたもの。図内の説明文が分かりにくいが、Enterprise Purchase Programはユーザー組織全体としての契約で、Volume Purchase Programは部署限定の契約といったように、ボリュームの違いがあるという。説明文からは、期間にも違いがあることがうかがえる。
詳細はさておき、いずれについても1台単位ではない。ある程度の台数が揃って初めて、ソフトウェアライセンスの対象になる。
そこで、さらに興味深くなるのが右下の「Consumption Service Agreement」だ。この付帯契約では、第三者にレンタルあるいはリースが可能という。すると、これを利用して、販売パートナーが自社としてEnterprise Cloud OSのライセンス提供を受け、ユーザー組織に1台単位でリースあるいはレンタルすることも考えられる。
一方、図右上の「Hosting Service Agreement」により、Enterprise Cloud OSをプラットフォームとしたクラウドサービスを提供できることになる。米Nutanixは、(第1のパートナーとして)Google Cloud Platformと組み、自社としてのクラウドサービス「Xi Cloud Services」を提供予定だが、他の幅広いデータセンター事業者が、Nutanixを活用したIaaSを自由に提供できる。
まとめると、「ソフトウェアライセンスであらゆる消費モデルをカバーする」というのがニュータニックスの戦略だ。
発表の場にはパートナー9社(伊藤忠テクノソリューションズ、NECフィールディング、兼松エレクトロニクスソフトバンク コマース&サービス、TIS、東京エレクトロンデバイス、日商エレクトロニクス、ネットワールド、日立システムズ)が参加。ソフトウェアライセンスを活用した製品販売、サポート、サーバホスティングサービスなどに力を入れていくことを説明した。
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