Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は、クラウドネイティブ技術の導入状況に関する12回目の年次調査の結果をまとめたレポート「Cloud Native 2024」を発表した。
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クラウドネイティブ関連のオープンソースソフトウェア(OSS)を管理する団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2025年4月1日(米国時間)、クラウドネイティブ技術の導入状況に関する12回目の年次調査の結果をまとめたレポート「Cloud Native 2024」を発表した。
CNCFはLinux Foundationの傘下団体であり、この調査はLinux Foundation Researchと共同で2024年11〜12月に実施され、企業や団体に勤務する約690人が回答した。
レポートによると、回答者の所属組織では、クラウドネイティブ技術の導入率が過去最高の89%に達した。中でもコンテナオーケストレーションツールの「Kubernetes」は、組織の93%が使用中、試験運用中、評価中のいずれかとなっており、現代のインフラにおいて確固たる役割を果たしている。
組織はイノベーションの加速、市場投入期間の短縮、進展するデジタル経済の中での回復力向上を目指し、ソフトウェアの開発とデプロイ(展開)においてクラウドネイティブ技術の導入を進めていると、CNCFは述べている。
「組織はクラウドネイティブ技術の導入を拡大する中で、文化面や運用面での課題に直面している。セキュリティは依然として重要課題だが、より迅速で信頼性の高いソフトウェアデリバリーを可能にする自動化やベストプラクティスに焦点が移行している。技術と文化の両方の変革に優先的に取り組む企業は、競争優位を獲得できるだろう」と、CNCFのCTO(最高技術責任者)、クリス・アニシチク氏は説明する。
2024年調査では、主要な課題の変化が浮き彫りになった。CNCFによると、かつてはセキュリティ上の懸念が最大の課題だったが、文化や運用面の変化が重要視されるようになっているという。さらに、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の導入が前年と比べて大幅に進み、ソフトウェアデリバリーが加速するとともに、GitOpsがベストプラクティスとして確立されつつある。これらの変化は、企業が単にクラウドネイティブツールを導入するだけでなく、チームのコラボレーション、自動化、運用のスケーリングを最適化する段階に移行していることを示していると、CNCFは述べている。
CNCFは、技術動向を示す調査結果のハイライトとして以下を挙げている。
Kubernetes上での人工知能(AI)および機械学習(ML)の導入は、まだ初期段階にある。調査によると、組織の48%がKubernetes上でAI/MLワークロードをまだ実行していない。一方、早期導入組織では、バッチ処理(11%)、モデルの実験(10%)、リアルタイムモデル推論(10%)、データ前処理(9%)といったジョブを試している。
これらのユースケースは、KubernetesがAI/MLワークロードで役割を果たし始めているが、クラウドネイティブ環境におけるAIの完全な運用に関しては、依然として課題が残っていることを示唆している。ツールやベストプラクティスの進化に伴い、Kubernetesは、業界全体でAI主導のイノベーションを実現するための重要な基盤となることが期待されている。
CNCFは、「CNCFの調査結果は、クラウドネイティブ技術が進化を続ける中で、組織にとっては自動化、文化の変革、セキュリティが、進展するデジタル世界で革新的な役割を果たしていくために不可欠なことを示している。これらの分野に投資する企業は、急速に変化する技術エコシステムの課題に対処し、よりスケーラブルで安全かつ効率的なアプリケーションを実現できるだろう」と述べている。
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