「Docker Desktop 4.40」の「Docker Model Runner」で、AIモデル/LLMアプリのローカル開発はどれぐらい捗る?AIモデルの実行をコンテナの実行と同じくらい簡単に

Dockerは、既存のワークフローから直接、AIモデルをローカルで実行、テストするための高速でシンプルな方法である「Docker Model Runner」を公式ブログで紹介した。

» 2025年04月14日 10時15分 公開
[@IT]

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 Dockerは2025年4月9日(米国時間、以下同)、既存のワークフローから直接、AI(人工知能)モデルをローカルで実行、テストするための高速でシンプルな方法である「Docker Model Runner」を公式ブログで紹介した。

 AIモデルをローカルで構築、実行することは、断片化されたツール、ハードウェア互換性の問題、分断されたアプリケーション開発ワークフローといった要因から難しく、Dockerはこの問題を踏まえてDocker Model Runnerを投入した。

 Docker Model Runnerは、Dockerが2025年4月1日に提供開始したAppleシリコン搭載Mac向けの「Docker Desktop 4.40」でβ版が利用可能になっている。最新の大規模言語モデル(LLM)を試す場合でも、本番環境にデプロイ(展開)する場合でも、Docker Model Runnerは必要なパフォーマンスと制御をスムーズに実現する。

 またDockerは、有力なAI企業やソフトウェア開発関連企業と提携し、開発者が最新のモデル、フレームワーク、ツールに直接アクセスできるようにしている。

LLMアプリのローカル開発はどれぐらい捗る?

 LLMアプリケーションのローカル開発は活発化しているが、そのためのセットアップは複雑だ。開発者はコンテナワークフローとは別に、複数のツールを手動で統合し、環境を設定し、モデルを管理することを余儀なくされる場合が多い。モデルの実行はプラットフォームによって異なり、使用可能なハードウェアによって異なる。モデルを格納、共有、提供する標準的な方法がないため、モデルのストレージは断片化されている。

 これらを背景に、開発者はクラウド利用コストの上昇や、開発者体験の分断に直面している。Docker Model Runnerでは、これらの摩擦を減らし、ローカルモデルの実行をよりシンプルに、より速く、より簡単に、開発者の既存の構築方法に適合させることに重点を置いている。

Docker Model RunnerでAIモデルをシンプルかつ安全にローカルで実行

 Docker Model Runnerは、AIモデルの実行をコンテナの実行と同じくらい簡単にするように設計されている。開発者はDocker Model Runnerのβ版を使用することで、以下のように、通常のセットアップの手間をかけることなく、モデルの実行、テストに加え、モデルを使用するアプリケーションコードの反復処理を、ローカルで迅速かつスムーズに実行できるようになった。

モデルをローカルで実行

 Docker Model Runnerにより、AIモデルのローカル実行が、内部ループ内の他のサービスを実行するのと同じくらい簡単になった。これは、Docker Desktopの一部として推論エンジンを含めることで実現されている。この推論エンジンはllama.cpp上に構築されており、OpenAI APIを介してアクセスできる。追加のツールや追加のセットアップ、既存ワークフローと別個のワークフローは不要だ。全てが1カ所に集約されているため、マシン上で素早くテストと反復処理ができる。

AppleシリコンのGPUアクセラレーションの有効化

 AppleシリコンのGPU(Graphics Processing Unit)アクセラレーションにより、開発者は高速な推論を行い、ローカルハードウェアを最大限に活用できる。ホストベースの実行を使用することで、仮想マシン内でモデルを実行する際のパフォーマンス制限を回避できる。これは推論の高速化、テストの円滑化、フィードバックループの改善につながる。

OCIアーティファクトによるモデルパッケージングの標準化

 Docker Model Runnerでは、オープン標準であるOCI(Open Container Interface)仕様に準拠したOCIアーティファクトとしてモデルをパッケージ化する。そのため、コンテナに既に使用しているのと同じレジストリとワークフローを通じて、モデルの配布とバージョン管理ができる。2025年4月現在、Docker Hubからすぐに使用可能なモデルを簡単に取得できる。間もなく、独自モデルをプッシュしたり、任意のコンテナレジストリと統合したり、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインに接続したり、使い慣れたツールを使用してアクセス制御や自動化をしたりすることも可能になる。

生成AIエコシステムのサポート

 シームレスなローカル開発を可能にするには、エコシステムが必要だ。そのため、DockerはDocker Model Runnerを、AIモデル関連のパートナー(Google、HuggingFaceなど)およびアプリケーション、言語、ツールのパートナー(Dagger、Continue、Spring AI、VMware Tanzuなど)と協力してリリースした。

 そのため、Docker Model Runnerでは、OCIアーティファクトとして公開された高品質で最適化されたモデルを、コンテナイメージと同様に、ローカルで標準のDockerコマンドを使用して、プルして実行できる。

 また、Docker Model Runnerで構築されたアプリケーションは、実際の開発者ワークフローにシームレスに統合できる。

 さらにDockerは、Qualcommなどのハードウェアパートナーと協力して、全てのプラットフォームで高パフォーマンスの推論を確保している。

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