ノンプログラミング機械学習のDataRobotが新パッケージ発表、大阪ガスの河本氏が利用経緯を説明新規事業の模索にも活用

DataRobotの日本法人が、「市民データサイエンティストのための」ノンプログラミング機械学習ソフトウェア/サービス「DataRobot」で、ライセンスとサービスを組み合わせたパッケージを発表した。前日に実施された説明の場では、大阪ガス情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏が、DataRobotの活用経緯について話した。

» 2018年03月13日 09時31分 公開
[三木泉@IT]

 DataRobotの日本法人は2018年3月13日、同社のノンプログラミング機械学習ソフトウェア/サービス「DataRobot」で、最大50人分のライセンスと、市民データサイエンティスト育成のためのコーチング、AIプロジェクト推進支援サービスをパッケージ化した製品、「AI-Driven Enterprise Package」を発表した。前日に実施された説明の場では、大阪ガス情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏が、DataRobotを同社で活用してきた経緯について話した。

 DataRobotは、ガートナーのいう「市民データサイエンティスト(専門家ではないが、データ分析に関して一定のスキルを備えた人々)」のための機械学習/ディープラーニングツールをうたうソフトウェア/サービス。

 DataRobotでは、訓練データが投入されると、自社のデータサイエンティストのノウハウに基づいて構築されたという、1000以上の機械学習アルゴリズム・構成を順次適用していく。同時に結果を精度の順位表として示す。ユーザーは、この中から自らの目的に最適だと考えるモデルを選択し、適用すればよい。機械学習のためのアルゴリズム選択、プログラミング、モデルのチューニングなどの作業は不要になる。

DataRobotでは、各種の分析手法を実行していきながら、結果を順次順位表として示す。メイン画面ではこの順位表を表示している

 DataRobotでは、機械学習を「グレーボックス」化したことも大きな特徴という。完全にブラックボックス化して、構築されたモデルを精度のみで示すのではなく、各モデルにどの特徴量がどの程度の影響を与えたかをグラフィカルに示せる。このため、ユーザーは各モデルについて内容をある程度確認した上で、選択・利用できる。

大阪ガスはDataRobotをメンテナンスから新規事業創出にまで活用

 河本氏は、大阪ガスの情報通信部ビジネスアナリシスセンターにおける、機器メンテナンス関連での機械学習におけるDataRobotの利用を中心に説明した。ちなみに同センターは、データ可視化では他のツールを使っている。

 例えば家庭用燃料電池「エネファーム」は、一般的な給湯機器などに比べ、はるかに複雑な構造をしており、故障個所の特定がしにくい。大阪ガスではエネファームをインターネット接続しており、常時吸い上げているデータから故障部位を判別している。また、同じデータを使って、故障が発生する前の予知も行っている。

 データ分析のビジネス現場への適用を進める過程で、河本氏は人を動かすことの難しさを学んできたという。現場のメンテナンス担当者たちは、故障予知率をいくら訴えても、不都合が起こる可能性があるため動いてくれない。次第に分かったのは、理解してもらうことではなく、覚悟を決めてもらえるようにすることの重要さだという。

 その時に役立つのが前述の「グレーボックス」的機能。河本氏たちは、多少精度が落ちても、納得してもらいやすいシンプルなモデルを選択するようにしているという。

DataRobotを使うと、現場に納得してもらいやすいと、河本氏は話した

 また、DataRobotが教師なし学習にも対応したことを受けて、機器の通常の状態からの逸脱を検知する異常監視にも使い始めている。メンテナンス以外ではマーケティングなどに使っている他、新規事業開拓のためにも活用し始めていると話した。データを投入して機械学習を実行することで、思いがけない結果が得られ、これが新規事業のアイデアにつながることもあるという。

 河本氏の示した、大阪ガスにおけるDataRobot採用理由は次の通り。

  • 自分たちでやるよりも優れた、(DataRobotに在籍する)最高レベルのデータサイエンティストの分析手法を簡単に使える
  • あらゆる分析手法を試すことができる
  • 後からデータを追加して精度向上を図ることができ、逆にデータ量による精度向上の限界も分かりやすい
  • 分析結果の解釈を助ける機能が優れていて、現場への説明がしやすい
  • ボタン1つで即座に実行できるため、機会損失をなくせる

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