でも、周りに理想の先輩や上司がいない人もいるでしょう。「あいつ、スゲーむかつく」と思った経験の方が多い方もいるはず。
私にもあります。「話を聞いてくれない先輩」「理想は語るけれど、口だけで何もしてくれない先輩」「ちゃんと説明もしないで、仕事を丸投げする先輩」「後輩よりも顧客に肩入れする上司」「残業したのにごまかそうとする上司」「とにかくストレスをかけて、人を動かそうとする上役」など、「こういう先輩や上司はイヤだなー」「何であんな振る舞いをするんだろう?」と思う人にもたくさん会ってきました。
もし周りに「理想の先輩」がいなければ、「その、逆を探す」というのも良い方法です。
例えば、「話を聞いてくれない先輩はイヤだ」の裏には、「先輩に話を聞いてほしい」や「話を聞くって大切だな」といった気持ちがあるはずですし、「理想は語るけれど、口だけで何もしてくれない先輩はイヤだ」の裏には、「言動一致が大切」という理想があるはず。
「ちゃんと説明もしないで、仕事を丸投げする先輩はイヤだ」「後輩よりも顧客に肩入れする上司はサイテー」「残業したのにごまかそうとするなんてふざけんな」「とにかくストレスをかけて、人を動かそうとするなんて馬鹿じゃないの?」の裏にも、「仕事は相手が分かるように説明した方がいい」「まずは、社内のチームが大切」「やった仕事はちゃんと評価したい」「みんなが楽しく働けた方がいいよね」などの理想があるはず。
「あいつ、スゲーむかつく」といった感情はネガティブに見えますが、その裏には「本当はこうだったらいいのにな」という理想があります。ネガティブな感情の「逆」から、「理想の先輩像」を探してみるといいでしょう。
「理想の先輩像」なんていうと、「あれをすべき」「これをすべき」と、何となく気負ってしまいますが、このように見てみてみると、理想は「自分の外」にあるのではなく、何かを見たり、聞いたりしたときに、「あのとき、うれしかったな」「○○さん、すごいな」と感じたり、思ったりした、「自分の中」にあることが分かります。
もちろん、理想通りにいかないこともあるし、うまくできないこともたくさんあるとは思います。でも、別段すごいことをやろうとしなくてもよくて、自分が「良いな」「うれしいな」「こういうことが大切だよな」と思うことを、感じることを、周りの後輩に体現するだけでいいんでしょうね。
「理想の先輩像」を体現するためにも、まずは、皆さんが「良いな」「うれしいな」と思える状態でいること。そのためにも、楽しく働くこと。その姿を見せることが、後輩にとっては一番の刺激になるのではないかと思います。
新年度を機に、一緒に頑張りましょう。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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