請負だって聞いていたのに、これじゃあ人材派遣じゃないですか!「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(57)(2/3 ページ)

» 2018年07月04日 05時00分 公開

ユーザー優位の契約プロジェクト

 今回取り上げるのも、契約の「名称」と「実態」が懸け離れたことで発生した紛争だ。

 契約書は「請負契約」として作成されていながら、実態は「ユーザーがベンダーの作業者に直接指示」を与え、かつ「成果物の完成責任はベンダー」にあるという、随分とユーザーに都合の良い内容の契約だ。

 IT以外の世界であれば、そもそもこんな契約が認められることは少ないのかもしれないが、システム開発プロジェクトでは前出の通り、こうした作業形態はよく行われている。

 とはいえ、いびつな作業形態には問題がある。だからこそ裁判が提起されることになってしまったのだ。まずは、事件の概要から見ていただこう。

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