請負だって聞いていたのに、これじゃあ人材派遣じゃないですか!「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(57)(1/3 ページ)

作業指示はこちらが出します。成果物の責任はとってください。え、派遣と請負のいいとこどり? どこでもやってることじゃないですか――IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する人気連載。今回は、契約が請負なのか派遣なのかが争点となった裁判を紹介する。

» 2018年07月04日 05時00分 公開

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「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説

連載目次

 IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する本連載、今回は「契約の解釈の違いが招く危険」を解説する。

 平成32年(2020年)春に予定される新民法の施行に向けて、自社のIT契約に関する契約書を見直そうとしている企業が多いのではなかろうか。今回の改正は特に、ITの開発や導入にも深く関連する「請負契約」や「準委任契約」の考え方に関して、比較的メジャーな変更が含まれるため、これまで使ってきた契約書を慎重に見直すことが求められる。

 本連載でも何度か取り上げてきたが、実際のシステム開発プロジェクトでは、実態が契約上の「請負」や「準委任」あるいは「派遣」と合致しない場合が多い。

 筆者がITベンダーのエンジニアだったころも、契約は「準委任」であるにもかかわらず、システムが完成していないことを理由に、契約期間を過ぎても作業を継続させられることが日常茶飯事だった。顧客担当者がベンダーの担当者に直接指示をしたり、勤怠を管理したりしていたこともある。

 システム開発の世界では、プロジェクトの実態が顧客の都合のいい方に契約から乖離(かいり)することは珍しくないのだ。

この契約書、「勤怠を管理する」って書いてあるから、本当は「派遣」なんじゃないかしら?(画像はイメージです)
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