契約外の作業だけどやってください、契約の金額内でね――IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する人気連載。今回は、「請負」「派遣」「SES(System Engineering Service)」、そして「偽装請負」について考える。
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2018年9月29日に「特定労働者派遣」が完全に廃止される(※)。一般労働者派遣と異なり、派遣元と労働者の間に無期雇用契約を結び、案件が発生したときだけ客先に派遣して作業をするという特定労働者派遣は、IT業界で広く活用されてきた。
詳細な作業や成果物を契約時点では決め切れないアジャイル開発やITの保守、運用作業では、「わが社の技術者を、お客さまの指示で使ってください」という形態は、実際のところ便利で、ある意味合理的でもあったのだ。
特定労働者派遣廃止後、この形態を便利に使ってきたITユーザー(発注者)とベンダー(受注者)が今まで通りに作業を行おうとして犯しそうな間違いが、「偽装請負」である。
契約上は「請負」でありながら、実際には受注側メンバーが発注側担当者から直接指示を受ける、勤務時間や残業を管理される、契約外の作業もさせられるなどは、受注者側に「最大1年の懲役もしくは100万円の罰金」という刑事罰が適応される違法行為である。
しかし、今まで通りの作業を契約書のお題目だけ変えて実施しようとする企業が発生する可能性は否めない。
IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する本連載、今回は少し趣旨を変えて、「請負」「派遣」「SES契約」の違い、そして「偽装請負」について考える。
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