開発フェーズの上流工程を中心に仕事したい人は、SI企業のような上流企業がマッチする。逆に自分はプログラミングをやりたいという人には、上流のSI企業はお勧めできない。
プログラミングを含む開発の仕事をしたいが、客先常駐はしたくないというエンジニアも多いだろう。しかし企業のWebサイトを見るだけでは、客先常駐のSESを行っているかどうか分かりにくい。
そこで、就職/転職先を探すときに客先常駐SES企業かどうかを判断するポイントを指南する。もちろん、全ての情報について以下の内容が必ずしも当てはまるわけではないので、一つの参考として理解してほしい。
客先常駐することが明記されていなくても、勤務地が「東京23区」のように曖昧な書かれ方をしている場合は、いずれかの客先に常駐する可能性が高い。また就業時間や休日に関する記載が「客先に準ずる」となっている場合も、客先常駐である可能性が高い。
自社での受託開発や自社サービスの運営や開発とSESを併せて行っている企業もある。
このような企業は、採用のタイミングでは自社開発ができることを売りにしていることが多い。しかし、自社開発の仕事が常に確保できるわけではないので、人員が余ったタイミングで客先常駐の仕事が回ってくる。
未経験だけれどエンジニアになりたいと思って、スクールに通う人もいるだろう。
最近は受講料無料のプログラミングスクールが増えているが、運営母体が客先常駐のSES企業や、関連企業や提携企業である場合がある。無料の条件として「卒業後に母体企業に就職すること」を義務付けられていることもある。
卒業後の進路はもちろん、客先常駐だ。
プログラムなどの開発に携われて、なおかつ客先常駐を行っていないIT企業の一つが、「自社開発を行っている企業」だ。
自社開発を行っている企業は人気があるので、未経験だったり業務経験が少なかったりする人にはハードルが高いかもしれない。でも、エンジニアとしてこういった企業で働きたいのならば、簡単に諦めないでほしい。
自社開発を行っている会社は、業務経験だけではなくプログラミング能力をしっかり見てくれるところも多い。たとえプログラマーとして業務は未経験でも、実力さえあれば、自社開発の企業でプログラマーとして働くことは十分にできる。
業務経験に乏しい人がプログラミング能力を客観的に証明する方法は簡単だ。何か作ってみればいいのだ。
作ったシステムを公開し、ソースコードをGitHubで公開して履歴書に書いて送れば、自社開発を行うような開発会社は、システムやソースコードを見てくれるはずだ。逆に応募してきた人のソースコードを読んでもくれないような企業にプログラマーとして就職することは、避けた方がいいかもしれない。
良い会社で働きたいのならば、しっかりとスキルアップすることだ。そうすれば、選択肢を格段に広げられる。
考えてみれば当たり前のことではあるが、エンジニアとして働きやすい会社には多くのエンジニアの応募が集まってくる。その競争に勝ち抜くためには相応の実力を付けることを避けては通れない。
逆に、しっかりと実力さえ付けてしまえば、業務未経験だろうと文系だろうといくらでも働く場所があるのがエンジニアだ。
就職/転職先を選ぶ際には、まず「自分がどんな環境で、どのように働きたいのか」を考える。そのためにはIT業界の構造をよく知っておく必要もある。業界のことを理解し、自分が望む方向が分かったら、必要なスキルアップを行う。そして、実際に手を動かして何かを作り、能力をきちんとアピールする。
ITエンジニアの仕事選びのポイントは、案外シンプルなのである。
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