本件の動画は、もともとが誰もが見られるサイトに公開されており、その視聴に費用はかからない。誰もが無料で見られる公開情報であるなら、自社サイトのコンテンツに自由にリンクを張っても差し支えないし、損害賠償には当たらない――訴えられた情報提供サイト側は、そんな気持ちがあったろう。だからこそ、この争いは裁判にまで発展してしまった。
なお、本記事では「著作権」という言葉を使っているが、この場合の権利を正確に述べると、著作権の一部に定義される「公衆送信権」の問題といえる。
この訴訟のポイントは、まず「そもそもこの動画が著作物に当たるのかどうか」、つまり、この動画が個人Xの思想、信条を創作的に表したものであるかという点と、「リンクを張ることが、たとえ自由に閲覧可能な状態にあるコンテンツであっても著作権侵害に当たるのか」ということになる。
裁判所はどのような判断をしたのだろうか。判決文の続きを見てみる。
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