デジタルトランスフォーメーションは、語るのは簡単だが、実践するのは難しい。具体的ですぐに効果が表れる(可能性の高い)10の取り組みを紹介する。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
衛星放送会社DIRECTVのCIO(最高情報責任者)は、失敗から学ぶことが称賛される文化を作ろうと考え、自身の失敗をシェアすることから始めた。
Gartnerは2021年までに、CIOが最高人事責任者のように、企業文化の変革に責任を負うようになると予想している。デジタルトランスフォーメーションを進める上で文化が障害となっている場合、CIOは、デジタルトランスフォーメーションを促進する文化に変える責任を負うことになるという。
文化の変革は容易なことではなく、会議を開いて「文化変革の時が来た」と宣言しても実現しはしない。だが、48時間以内に計画して実行できる“カルチャーハック”がある。
「カルチャーハックは、弱点を見つけてシステムに不正に侵入することではない。カルチャーハックで肝心なのは、文化の脆弱(ぜいじゃく)な点を見つけて根本的に修正し、その変化を定着させることだ」と、Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントを務めるクリスティン・モイヤー氏は、2018年10月に米国のオーランドで開催されたGartner Symposium/ITxpo 2018で語った。
Gartnerは、具体的ですぐに効果が表れる10個のカルチャーハックを勧めている。
月曜日にCIOが新しいデジタル戦略を発表したとする。火曜日の最初の会議でCIOは、「この会議は新しいデジタル戦略をどのように前進させるのか」と尋ねる。答えが返ってこなければ、CIOは会議を中止し、新しいデジタル戦略を前進させる会議ができるようになるまで自分のスケジュール(または、全員のスケジュール)に会議を入れないようにする。
DIRECTVのCIOのように、失敗と、それから学ぶことを奨励することは重要だ。DIRECTVのCIOは自分の失敗をシェアすることで、リスクの許容度を高められた。これは文化変革の一種だ。
意思決定は全て48時間以内に行うというルールを作る。これにより、説明責任の在り方が変わる。このルールが目指す意思決定の促進には、別の方法で取り組むこともできる。例えば、ある政府機関のCIOはチームに、「意思決定を行うと2ポイントを獲得し、意思決定が悪かった場合は1ポイントを失う」というポイント制を導入した。この制度では、悪い意思決定をしても、何もしない場合より高いポイントになる。
上のポイント制は、ポイントを記録することではなくマネジャーに新しい考え方を奨励することを目的としている。この制度を導入した結果、このCIOのチームはさらに仕事に熱が入り、より仕事を楽しむようになった。また、このCIOは仕事時間の70%を内部の問題に費やしていたが、この割合が40%に低下した。
住宅リフォームや家電チェーンを手掛けるLowe'sは、従業員が、企業目標の達成を妨げる古い考え方ややり方を捨てる手助けをするワークショップを行っている。
CIOは、従業員から本当に難しい質問が3つ出るまで、会議を終わらせないようにする。従業員は会議が終わってから、お互いにこうした質問をし合うかもしれない。そうした会議の在り方を変えるには、CIOは従業員の前でオープンに、難しい質問に進んで答える必要がある。
現実的には、難しい質問に全て答えられるとは限らない。幸いなことに、どんな質問にも答える必要はない。この発想が、学習に重点を置いて成長を目指す考え方や環境につながる。
CIOは、仕事時間の最大70%を会議や電子メールに費やしている。現状報告会議をなくし、代わりに簡潔な情報を基に最新の進捗(しんちょく)状況を確認する。これにより、意思決定の権限がプロジェクトオーナーに移り、プロジェクトオーナーが物事を進めて行動を起こせるようになる。
優れたアイデアの持ち主を、そのアイデアを実現するプロセスを統括するCEO(最高経営責任者)に据える。
カルチャーハッカソンを実施し、文化変革の取り組みをシェアする。
出典:10 Culture Hacks for Digital Transformation(Smarter with Gartner)
Brand Content Manager at Gartner
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