「内線」なんて今となっては時代遅れだ。時代遅れになった理由を紹介した後、内線に代わる新しいコミュニケーションサービスについて解説する。
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スマートフォンを使った内線電話が2014〜2015年に話題になった。しかし、使ってみると音質が良くない。スマホ内線を導入するのに、いちいちユーザーごとに実証実験をしているような状況だった。
「インターネットなんて使うから音質が悪くなるんじゃないか。キャリアのモバイル網はもともとインターネットとは独立しているのだから、そのまま閉域モバイル網として使えば仕組みも簡単だし、音質も良くなるはずだ」と考えて、思い付いたのが「閉域モバイル・スマホ内線」だ。
このアイデアを思い付いたのは2015年3月だった。同4月にはある企業に提案して受注、6月には一部の拠点で稼働させ、12月には全拠点への導入が完了した。提案から稼働までわずか2カ月しかかからなかったのは、閉域モバイル・スマホ内線が単なる設計のアイデアであり、ソフトウェアやハードウェアの新規開発が不要だったからだ。
2015年4月の提案と同時に特許も出願しておいた。自分で出願書類を書くのではなく、勤め先で定められている「アイデアシート」にアイデアの説明を書く。それが審査されて特許出願の価値があると認められると、弁理士にアイデアシートの内容を説明し、出願手続きを進めてもらう。
アイデアシートにまず書いたのは、従来の課題とその解決だ。
アイデアシートの内容を図解したのが図1と図2だ。
インターネットを使うスマホ内線はパケットの遅延や損失で音質が悪くなるだけでなく、メッセージ内のアドレスも変換する特殊なNATである「SIP-NAT」が必要なため、設備や運用に費用がかかるという欠点がある。
閉域モバイル・スマホ内線は閉域モバイル網がイントラネットの一部になり、スマートフォンにも社内のPCやサーバと同じプライベートIPアドレスを付与できるためNATの必要がない。インターネットを使わないので遅延やパケットの損失も少なく音質を保ちやすい。
登録された特許の内容は、「通信処理システム、通信処理方法、通信処理プログラム、携帯端末装置およびその制御方法と制御プログラム」(特許公報)だ。
この特許を筆者が毎週月曜日に社内の人に送っているメルマガで紹介したところ、面白いフィードバックがあった。電話の商談で競合している他社が閉域モバイル・スマホ内線を提案しているというのだ。その会社はしっかりサービスメニューにしているらしい。競合にまねされるのは困ったことだが、閉域モバイル・スマホ内線のメリットを他社が認め、それを広げているのは「ネットワークの進化」に多少なりとも役立ったということだろう。
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