「Windows 10 Sモード」は、個人、企業、教育機関のPC向けに用意されたWindows 10のロックダウンモードです。検証されたハードウェア上で、最新のWindows 10と検証されたアプリだけを実行できる環境は、セキュリティと安定性を重視したい個人や組織にとって検討すべき選択肢です。
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「Windows 10 Sモード」の前身は、Windows 10 バージョン1703ベースで開発された新しいエディション「Windows 10 S」です。Windows 10 Sは、Microsoft Storeから入手したアプリのみを実行できる“ロックダウンされたWindows 10”の新しいエディションとして登場し、バージョン1709まではHome/Pro/Enterpriseなどとは別のエディション(SKU)として提供されました。
SエディションはWindows 10 バージョン1803で廃止され、以後、エディションに関係なく利用可能なモード(OEMベンダーによって有効化されるモード)、「Sモード(S mode)」に変更されました。一般的には、「Windows 10 Home in S mode」または「Windows 10 Pro in S mode」がプリインストールされたPCとして販売されますが、企業向けの「Windows 10 Enterprise in S mode」、教育機関向けの「Windows 10 Pro Education in S mode」と「Windows 10 Education in S mode」も存在します。
企業の場合は、通常のWindows 10 Enterpriseを導入する場合と同じ方法で、Windows 10 Enterprise in S modeを導入できます。その方法の一つは、Windows 10 Pro in S modeがプリインストールされたPCを、ボリュームライセンス契約でWindows 10 Enterpriseにアップグレードすることです(実際に確認したわけではありませんが、アップグレード後もSモードは維持されるようです)。また、プリインストールPC購入時に、OEMベンダーにWindows 10 Enterprise in S modeのプリインストールを依頼することもできます。
Windows 10 Sモードの特徴は、前述したように「Microsoft Storeから入手したアプリのみを実行できる」ことです(画面1)。Microsoft Store以外から入手したバイナリを実行しようとしてもブロックされます(画面2)。このブロックの制御には、Windows 10のセキュリティ機能「Windows Defenderアプリケーション制御(WDAC)」と共通の技術が利用されています。
Windows 10 Sモードを、ARM向けWindows OSである「Windows RT」(Windows RT 8/8.1で開発終了、製品サポートは2023年1月まで)のように、ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリのみを実行でき、Win32アプリ(.exe)は実行できないと誤解している人がいるかもしれません。
しかし、それは全くの誤りです。また、Sモードでは「ブラウザは『Microsoft Edge』しか利用できない」と誤解している人もいるようです。Sモードは動作モードであり、Windows 10のバイナリは、対応するエディションのバイナリと共通です。そして、一部を除き、Windowsに組み込まれたアプリやツールは、通常版と同じように実行できます。
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