「Windows 10 Sモード」は、個人、企業、教育機関のPC向けに用意されたWindows 10のロックダウンモードです。前回に引き続き、Windows 10 Sモードのその他の制約について説明します。
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前回紹介したように、「Windows 10」の全エディションに存在する「Sモード」(プリインストールPCのみ)は、Windowsに最初から搭載されている機能やツールの他は、Microsoft Storeから入手したアプリのみを実行できる“ロックダウンモード”です。
Sモードに搭載されている機能は通常のエディションと共通ですが、「コマンドプロンプト」や「Windows PowerShell」「Windows Script Host(WSH)」など、シェル環境の使用は許可されておらず、ブロックされます。また、Windows 10の標準機能である「Windows Subsystem for Linux(WSL)」が提供するLinuxシェル環境も、Sモードではブロックされます。
WSLだけでなく、Windows 10のその他の主な機能についてもSモードで利用できるかどうかを実際に試してみました。具体的には、以下に挙げる5つのWindowsの機能と、2つのストアアプリ(無料)です。
Sモードだからといって、これらのWindows 10機能の有効化やアプリのインストールがブロックされることはありませんが、Sモードで利用できるかどうかはまた別の話です(画面1)。これらの機能やアプリとSモードとの互換性について公開されている情報はないようなので、Windows 10 Pro バージョン1803、1809、1903のSモードで実際に試してみました。
Windows 10 Pro以上の64bit(x64)エディションでは、「クライアントHyper-V」とも呼ばれる仮想マシン環境がサポートされます。Hyper-Vのシステム要件さえ満たしていれば、SモードでもHyper-Vを有効化し、仮想マシンを作成して実行できます(画面2)。
ただし、SモードではWindows PowerShellが利用できないため、Hyper-V関連のコマンドレットを使用した詳細な管理はできません。GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)管理ツールである「Hyper-Vマネージャー」による管理なら可能です。
「Windows Defender Application Guard(WDAG)」は、Windows 10 バージョン1709のEnterpriseエディションに初めて搭載された、「Microsoft Edge」の隔離されたブラウジング環境です。Windows 10 バージョン1803からはProエディション、バージョン1903からはEducationエディションでも利用可能になりました。本連載第51回では、WDAGの最新情報を紹介しました。
WDAGのシステム要件さえ満たしていれば、SモードでもWDAGを有効化して利用することができます(画面3)。
なお、Windows 10(バージョン1803以降)に「Windows Defender Application Guard Companion」アプリを追加することで、「Google Chrome」や「Mozilla Firefox」とWDAGを連携させることができるようになりましたが、この機能はSモードでは利用できません。
Sモードでも、Microsoft StoreからWindows Defender Application Guard Companionアプリをインストールすることは可能です。しかし、Google ChromeやMozilla FirefoxがMicrosoft Storeで提供されていないため、Sモードの環境にこれらのブラウザを導入する方法がないのです。
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