ガートナー ジャパンは「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」で、「センシングとモビリティ」や「高度なAIとアナリティクス」など、5つの先進技術トレンドを挙げた。
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ガートナー ジャパンは2019年8月30日、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」を発表した。この中で同社は、5つの先進技術トレンドとして、「センシングとモビリティ」「オーグメンテッドヒューマン」「ポストクラシカルなコンピューティングとコミュニケーション」「デジタルエコシステム」「高度なAIとアナリティクス」を挙げた。
1つ目の「センシングとモビリティ」についてガートナーは、センシングやモビリティ機能の活用を目指す企業は、3DセンシングカメラやAR(拡張現実)クラウド、軽貨物配送ドローン、自律型航空機/空飛ぶ車、自律走行(レベル4/5)を検討すべきだとしている。
センサー技術は、IoT(モノのインターネット)の中核要素で、センサー技術とAI(人工知能)の融合によって、機械が周辺環境を認識する能力は向上した。ガートナーは、今後10年間でARクラウドが世界の3D地図を生成すると見込む。これによって、新しいインタラクションモデルに加え、物理的な空間から収益を生み出す新たなビジネスモデルが実現すると予測している。
2つ目の「オーグメンテッドヒューマン」についてガートナーは、オーグメンテッドヒューマンの進化が、認識能力や身体能力を向上させる機能の開発を可能にするとしている。こうした機能は人間の身体に不可欠な要素になり、人間の能力を上回る特性を備えた人工装具がその一例だ。具体的には、バイオチップ、パーソニフィケーション、拡張インテリジェンス、感情AI、イマーシブワークスペース、バイオテクノロジー(培養組織や人工組織)を挙げている。
3つ目の「ポストクラシカルなコンピューティングとコミュニケーション」については、5G(第5世代移動通信システム)、次世代メモリ、低軌道衛星システム、ナノスケール3Dプリンティングといった技術を挙げた。これらは、これまで数十年にわたって進歩を遂げてきたコンピューティングやコミュニケーションに代わる、新しいアーキテクチャを採用した次世代の技術だ。ガートナーは、このカテゴリーには、これまでとは完全に異なるアプローチだけでなく段階的な改善も含まれ、そうした改善は劇的な影響をもたらす可能性があると評価する。
4つ目の「デジタルエコシステム」の検討すべき重要な技術の例として、ガートナーはDigitalOpsやナレッジグラフ、合成データ、非中央集権型Web、非中央集権型自律組織を挙げた。同社はデジタルエコシステムについて、デジタルプラットフォームを共有する企業や人、モノで構成される、互いに依存するグループを活用して、相互に有益な目的を達成するとしている。デジタル化は、従来のバリューチェーンの破壊を促し、レジリエンスの高い価値提供ネットワークを生み出すという。
5つ目の「高度なAIとアナリティクス」についてガートナーは、注目すべき技術としてアダプティブな機械学習やエッジAI、エッジアナリティクス、説明可能なAI、AI PaaS(サービスとしてのAIプラットフォーム)、転移学習、敵対的生成ネットワーク、グラフ分析を挙げた。同社は、こうした技術は洗練された手法とツールを使ってデータやコンテンツを自律的に検証する機能を備えており、従来のBI(ビジネスインテリジェンス)よりも優れているとしている。
ガートナーのアナリストでバイスプレジデントを務めるBrian Burke氏は、「技術革新は、競争上の差別化をもたらす鍵になっている。技術の変化は加速を続けており、ビジネスと技術の革新的な意思決定者でさえ、画期的な技術に追随することは困難だ。技術革新のリーダーは、ハイプサイクルで取り上げた技術を参考に、先進技術がもたらすビジネス機会の可能性を探るべきだ」と述べている。
なおハイプサイクルとは、各種キーワードと、実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓との関連性を、横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波型曲線で視覚的に示したもの。各キーワードが時間の経過とともに今後たどる道筋を、時間軸で予測する。キーワードとしては、例えば技術やサービス、関連する概念、手法などの認知度、成熟度や採用状況などが挙げられる。
ガートナーは、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」では方針を見直し、過去の同ハイプサイクルでは取り上げなかった最新技術を紹介することに注力したという。このため、2018年版で取り上げられた技術のほとんどが2019年版では除外された。
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