本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、LVMでボリュームグループのメタデータをバックアップする「vgcfgbackup」コマンドです。
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本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、LVMでボリュームグループのメタデータをバックアップする「vgcfgbackup」コマンドです。
「vgcfgbackup」は、LVM2(Logical Volume Manager 2)で、ボリュームグループのメタデータをバックアップするコマンドです。なお、メタデータの復元には「vgcfgrestore」コマンド(連載第353回)を使います。
Linuxでは当初、HDDなどに直接ファイルシステムを割り当てて管理していましたが、現在では、物理ボリュームをまとめて仮想化されたボリュームグループを作り上げた後、それを論理ボリュームに切り分けて管理する仕組みであるLVMが取り入れられています。例えば、CentOSでは、デフォルト設定のインストールで論理ボリュームを使用します。
物理ボリュームを直接使うのではなく、論理ボリュームを作り上げて記憶領域を管理することで、LVMでは複数の物理的なディスクを1つにまとめて大容量のファイルシステムを構築したり、ファイルシステムのサイズを後から変更したりする操作が可能になります。
LVMでボリュームを作成、削除したり、現在の構成を表示したりする場合は次のコマンドを使用します。
対象 | 作成 | 削除 |
---|---|---|
物理ボリューム | pvcreateコマンド(連載第335回) | pvremoveコマンド(連載第338回) |
ボリュームグループ | vgcreateコマンド(連載第336回) | vgremoveコマンド(連載第339回) |
論理ボリューム | lvcreateコマンド(連載第337回) | lvremoveコマンド(連載第340回) |
対象 | 拡張 | 縮小 |
---|---|---|
物理ボリューム | pvresizeコマンド(連載第351回) | pvresizeコマンド(連載第351回) |
ボリュームグループ | vgextendコマンド(連載第342回) | vgreduceコマンド(連載第344回) |
論理ボリューム | lvextendコマンド(連載第343回) | lvreduceコマンド(連載第345回) |
対象 | 情報表示 | 詳細情報表示 |
---|---|---|
物理ボリューム | pvsコマンド(連載第331回) | pvdisplayコマンド(連載第332回) |
ボリュームグループ | lvsコマンド(連載第329回) | lvdisplayコマンド(連載第330回) |
論理ボリューム | vgsコマンド(連載第333回) | vgdisplayコマンド(連載第334回) |
vgcfgbackup [オプション] ボリュームグループ名 ……
※[ ]は省略可能な引数を示しています。
短いオプション | 長いオプション | 意味 |
---|---|---|
-f ファイル名 | --file ファイル名 | バックアップファイル名(デフォルトは「/etc/lvm/backup/ボリュームグループ名」)を指定する(※1) |
--ignorelockingfailure | ロックのエラーを無視する(読み出し専用操作のみ実行) | |
-P | --partial | 不完全なボリュームなども含めて表示する(PARTIAL MODE) |
--readonly | 特別な読み出し専用モードを使用する | |
-v | --verbose | 付加情報を表示する |
※1 複数のボリュームグループを対象とした場合、最初のボリュームグループのメタデータのみを指定したファイル名で保存する。複数指定したい場合は「-f ディレクトリ名/%s」のように指定する(本文を参照)
「vgcfgbackup」で、全てのボリュームグループのメタデータをバックアップします(画面1)。特定のボリュームグループのみを対象としたい場合は、「vgcfgbackup ボリュームグループ名」のように指定します。ボリュームグループは複数指定可能です。
実行するとバックアップファイルを「/etc/lvm/backup/」以下に、ボリュームグループと同じ名前のファイルで保存します(※2)。ファイルはテキスト形式で、ボリュームグループが含む物理ボリュームと論理ボリュームの情報が記録されています。
※2 ボリュームグループのメタデータは、vgcfgbackupコマンド以外のコマンドを利用してボリュームグループを操作した際に、自動で/etc/lvm/archive/以下にバックアップされている。
ボリュームグループのバックアップを作成した際、「/etc/lvm/backup/」以下に同名のファイルがある場合は上書きします。また、「/etc/lvm/backup/」以下にバックアップしたファイルは、例えば、ボリュームグループを削除すると自動的に削除されます。
vgcfgbackupコマンドの実行にはroot権限が必要です。「sudo」コマンド(連載第68回)などを利用してください。
vgcfgbackup
(全てのボリュームグループのメタデータをバックアップする)(画面1)
vgcfgbackup ボリュームグループ名
(指定したボリュームグループのメタデータをバックアップする)
vgcfgbackup datagroup
(ボリュームグループ「datagroup」のメタデータをバックアップする)
「vgcfgbackup -f ファイル名 ボリュームグループ名」で、メタデータのバックアップ先を指定できます(画面2)。
「-f」でファイルを指定したにもかかわらず、バックアップ対象のボリュームグループが複数あった場合、最初のボリュームグループのメタデータのみをバックアップします。
複数のボリュームグループをバックアップ対象にしたい場合は個別に指定して実行するか、「-f ディレクトリ名/%s」のように指定します。なお、バックアップ先のディレクトリは先に作成しておく必要があります。
「-f ディレクトリ名/%s」と指定した場合、指定したディレクトリに、ボリュームグループと同じ名前のバックアップファイルを作るため、同名のファイルが既に存在していた場合は上書きします。
vgcfgbackup -f /tmp/datagroup-backup datagroup
(ボリュームグループ「datagroup」のバックアップを「/tmp/datagroup-backup」に保存する)
vgcfgbackup -f /tmp/%s
(全てのボリュームグループを「/tmp/ボリュームグループ名」に保存する)
西村 めぐみ(にしむら めぐみ)
元々はDOSユーザーで「DOS版UNIX-like tools」を愛用。ソフトハウスに勤務し生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当、その後ライターになる。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。地方自治体の在宅就業支援事業にてMicrosoft Officeの教材作成およびeラーニング指導を担当。会社などの"PCヘルパー"やピンポイント研修なども行っている。
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