2020年1月のWindows Updateで、新しいGoogle Chrome互換(Chromium版)のMicrosoft Edgeの配信が開始される。Windows Updateにより、自動的に更新されると、互換性の問題などから混乱が生じる可能性もある。そこで、Windows Updateによる意図しない自動更新をブロックする方法を紹介する。
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対象:Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)以降
Windows 10 The Latest「Chrome互換に生まれ変わる次期Microsoft Edge その実力は?」で解説したように、Microsoftは新しい「Microsoft Edge」を開発中で、HTMLレンダリングエンジンをこれまでのEdgeHTMLから、Chromium(Google Chromeのベース)のBlinkに変更する(以下、ChromiumベースのMicrosoft Edgeを「Chromium版Edge」とする)。
Microsoftは、2020年1月のWindows UpdateでChromium版Edgeを配信することを明らかにしており、Windows Updateで更新プログラムの適用を停止していなければ、自動的に更新されてしまう。なお、手動でChromium版Edgeを適用するには、以下の「Microsoft Edge Insider Channels」からダウンロードして手動でインストールすればよい。
Chromium版Edgeは、前述の通りChromiumベースに変更になり、HTML5互換性が向上するといわれている。一方、HTMLレンダリングエンジンが変更されるため、社内向けのWebサービスやクラウドサービスなどで、互換性の問題が発生する可能性もある。
できれば、利用しているサービスで互換性の問題が発生しないことなどを確認した上で、Chromium版Edgeを展開したいところだ。そのためには、Windows UpdateによるChromium版Edgeへのアップデートを停止する必要がある。本Tech TIPSではその方法を紹介する。
Chromium版Edgeの自動インストールを無効化/有効化するには、「バッチファイルを実行する」「グループポリシーを設定する」「レジストリを設定する」という3種類の方法がある。このうちブロックツールとグループポリシーについては、Microsoftが提供している「Blocker Toolkit」が必要になる。
Blocker Toolkitをダウンロードするには、Webブラウザで以下のURLを開き、ページ中ほどの「You can download the Blocker Toolkit executable file from」下のリンクをクリックする。これで「MicrosoftEdgeChromiumBlockerToolkit.exe」という実行形式のアーカイブファイルがダウンロードできる。
MicrosoftEdgeChromiumBlockerToolkit.exeを実行すると、指定したフォルダに以下のブロックツール(cmdファイル)とグループポリシー(admx/admlファイル)が展開できる。
MicrosoftEdgeChromiumBlockerToolkit.exeを展開したフォルダ内の「EdgeChromium_Blocker.cmd」を使うことで、ローカルまたはリモートのコンピュータに対して、Windows UpdateによるChromium版Edgeへのアップデートを無効化/有効化できる。無効化するには以下のコマンドラインを管理者モードで実行する。管理者モードでコマンドプロンプトを開く手順については、Tech TIPS「ワンクリックでWindowsのコマンドプロンプトを管理者モードで実行する」を参照してほしい。
EdgeChromium_Blocker.cmd <コンピュータ名> /B
<コンピュータ名>を省略すると、EdgeChromium_Blocker.cmdを実行しているローカルコンピュータの設定が変更される。リモートコンピュータの設定を変更する場合は、以下の画面のように「\\」を含めずに<コンピュータ名>を指定する。なお、リモートコンピュータの設定を変更する場合は、事前にリモートでレジストリを操作できるように設定しておく必要がある(リモートでレジストリを操作できるようにする方法は、Tech TIPS「Windowsでリモートからレジストリを操作する」を参照してほしい)。
検証などが済み、Windows Updateによる自動更新を有効に戻すには、「/U」オプションを付けて実行すればよい(ヘルプを表示するには「/H」オプションを付ければよい)。
EdgeChromium_Blocker.cmd <コンピュータ名> /U
[注意]
レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリエディターの操作は慎重に行うとともに、あくまでご自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。
実は、上記のバッチファイルを実行すると、以下のレジストリキーが設定され、これによりWindows UpdateによるChromium版Edgeへの自動更新が無効化/有効化される。つまり、このレジストリキーを手動で設定することで、自動更新の無効化/有効化の設定を行うことも可能だ。ただし、手動で設定する場合、以下のレジストリキーなどは存在しないので、間違えないように作成すること。
項目 | 内容 |
---|---|
キー | HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWAREの\Microsoft\EdgeUpdate |
値の名前 | DoNotUpdateToEdgeWithChromium |
型 | REG_DWORD |
値の内容 | 1 → Chromium版Edgeへの自動更新を無効化する0 → Chromium版Edgeへの自動更新を有効化する(0にするか、この値そのものを削除する) |
Windows UpdateによるChromium版Edgeへの自動更新を無効化/有効化するためのレジストリ設定 |
MicrosoftEdgeChromiumBlockerToolkit.exeを展開したフォルダ内のグループポリシーのテンプレートファイル(EdgeChromium_Blocker.admxとEdgeChromium_Blocker.adml)をグループポリシー管理エディターに組み込むことで、グループポリシーによるChromium版Edgeへの自動更新をブロックできる。
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