Excelでセル内の文字列を縦書きにする方法Tech TIPS

Excelの表が見づらい、印刷で切れる……そんなお悩みはないだろうか? 解決の鍵は、「縦書き」を使うこと。本Tech TIPSでは、クリック一つでできる基本設定から、英数字を回転させる応用技、レイアウトが自由自在になるテキストボックス活用法まで、縦書きの基本的な設定方法をまとめた。知っておくべき注意点や便利な時短設定も解説する。

» 2025年10月22日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]
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対象:Excel 2021//2024/365


セル内も文字列を縦書きにする セル内も文字列を縦書きにする
このように複数の項目をまとめた見出しを付けたいような場合、見栄えを良くしたり表の横幅を狭めたり(印刷した際にA4判に入るように)するために、縦書きにしたいこともあるだろう。

 「Microsoft Excel(エクセル)」で表を作成する際、項目名などを縦書きにしたいこともあるのではないだろうか。例えば、上画面のような複数の項目名をまとめて見出しを付けたいような場合だ。また、Excelをワープロの代わりとして使っているような場合も、縦書きが必要になることがあるだろう。

 そのような場合に、セル内で文字列を縦書きにする方法を紹介しよう。また、縦書きにする際の注意点についてもまとめてみた。

[ホーム]タブから縦書きを設定する

 セル内の文字列を縦書きにするには、縦書きに設定したいセルを選択し、[ホーム]タブの[配置]グループにある[方向]アイコンをクリックし、[縦書き]を選択する。これで、セル内の文字が縦書きになるはずだ。横書きに戻したいときは、もう一度、[縦書き]をクリックすればよい。

[ホーム]タブから縦書きを設定する(1) [ホーム]タブから縦書きを設定する(1)
縦書きにしたいセルを選択し、[ホーム]タブの[配置]グループにある[方向]アイコンをクリックし、[縦書き]を選択する。
[ホーム]タブから縦書きを設定する(2) [ホーム]タブから縦書きを設定する(2)
選択されているセルの文字列が縦書きに変わる。

[セルの書式設定]ダイアログで縦書きを設定する

 [ホーム]タブの[方向]アイコンの他にも、[セルの書式設定]でも縦書きの設定が可能だ。縦書きにしたいセルを選択してから、[Ctrl]+[1]キーを押すか、右クリックメニューの[セルの書式設定]を選び、[セルの書式設定]ダイアログを開く。[セルの書式設定]ダイアログの[配置]タブの「方向」欄で縦書きの「文字列」を選択すればよい。

[セルの書式設定]ダイアログで縦書きを設定する [セルの書式設定]ダイアログで縦書きを設定する
縦書きにしたいセルを選択して、[Ctrl]+[1]キーを押して[セルの書式設定]ダイアログを表示する(右クリックメニューで[セルの書式設定]を選択してもよい)。[セルの書式設定]ダイアログの[配置]タブを開き、「方向」欄で縦書きの「文字列」を選択すればよい。

 この「文字列」欄はトグル(押すたびに切り替わる)なので、1回クリックすると黒背景の白文字になり縦書きに、もう1回クリックすると白背景の黒文字になって横書きとなる。

縦書きにする際の注意点

 Excelのセル内の文字を縦書きにする場合、幾つかの注意点がある。

セルをまたいだ表示はできない

 縦書きにした文字列は、横書きの場合と異なり、隣のセルにまたがって表示させることができない。文字数に応じてセルの高さが自動的に広がるため、レイアウトが崩れないよう注意したい。複数行にまたがる見出しを作成する場合は、あらかじめセルを結合しておく必要がある。

 ただし、Tech TIPS「構造化Excelテク:セルの結合を使わずに複数セルの中央に文字列を表示する」で解説しているように、セルを結合してしまうと、並べ替えやグラフ化などの際に問題が生じるので、なるべく避けた方がよい。縦書きの見出しは、この点を十分に理解した上で設定してほしい。

「選択範囲内で中央」との併用は不可

 [セルの書式設定]ダイアログの[配置]タブを開き、「文字の配列」欄の「横位置」で[選択範囲内で中央]を選択すると、縦書きがクリアされてしまう。この2つの書式は同時に適用できない点に注意してほしい。

[選択範囲内で中央]を選択すると縦書きにできない [選択範囲内で中央]を選択すると縦書きにできない
[セルの書式設定]ダイアログの[配置]タブで[選択範囲内で中央]を選択すると、縦書きが選択できなくなるので注意。

文字種による表示の違い

 文字種にも注意が必要になる。半角の「-(ハイフン)」などの記号は縦書きにしても文字が90度回転しないため、違和感のある表示となってしまう。同様に半角片仮名の濁点や半濁音は、文字と分離して、下側に表示されてしまうので、半角片仮名は利用しない方がよい。

半角片仮名は濁点と半濁点が文字と分離してしまう 半角片仮名は濁点と半濁点が文字と分離してしまう
半角片仮名で縦書きを設定すると、濁点と半濁点が文字と分離して2文字になってしまう。

縦書きと横書きの混在はできない

 「東京03」のように、1つのセル内に漢字と英数字が混在する場合、「03」の英数字部分だけを横書きにすることはできない。セル内は、縦書きか横書きのどちらか一方にしか設定できない点も覚えておきたい。

フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする

 日本語(全角)は縦書きにしたいけど、半角の英数字は文字が90度回転した状態にしたいといった場合、[ホーム]タブのフォント名の先頭に「@」記号を入力(例:「@游ゴシック」)してから、[ホーム]タブの[配置]グループにある[方向]アイコンをクリック、[右へ90度回転]を選択すればよい。全角文字は縦書き、半角の英数字は文字が90度回転した状態となる。

 フォント名の先頭に「@」記号を入力しないと、全角文字も90度回転した状態になってしまうので注意してほしい。

フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(1) フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(1)
縦書きにしたいセルを選択したら、フォント名の先頭に「@」を入力して縦書き用のフォントであることを示す。
フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(2) フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(2)
[ホーム]タブの[配置]グループにある[方向]アイコンをクリックし、[右へ90度回転]を選択する。
フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(3) フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする(3)
選択したセル内の全角文字列が縦書きになる。セル内で複数の異なるフォントを指定している場合、縦書きにならないので注意が必要だ。

テキストボックスを使って縦書きにする

 セルの書式設定以外に、テキストボックスを利用して縦書きの文字列を配置する方法もある。セルとは独立して自由に位置を調整できるため、表の外に注釈を入れたり、デザイン性の高い見出しを作成したりする場合に便利な方法だ。

 [挿入]タブの[テキスト]グループにある[テキストボックス]をクリックして表示されるメニューから[縦書きテキストボックス]を選択する。挿入されたテキストボックスをシート上でドラッグして、任意の大きさのテキストボックスを作成する。テキストボックス内に文字列を入力する。このテキストボックスを縦書きにしたセルの上に移動すればよい。

テキストボックスを使って縦書きにする(1) テキストボックスを使って縦書きにする(1)
[挿入]タブの[テキスト]グループにある[テキストボックス]をクリックして表示されるメニューから[縦書きテキストボックス]を選択する。
テキストボックスを使って縦書きにする(2) テキストボックスを使って縦書きにする(2)
挿入されたテキストボックスをシート上でドラッグして、任意の大きさのテキストボックスを作成する。テキストボックス内に文字列を入力する。このテキストボックスを縦書きにしたセルの上に移動する。元のセルには検索などにヒットするように横書きの文字を残しておいた方がよい。

 既に横書きのテキストボックスがある場合は、それを縦書きに変更することもできる。横書きのテキストボックスを選択してから、[図形の書式]タブの[文字列]グループにある[文字列の方向]から[縦書き]を選択すればよい。

クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する

 縦書きを多用するのであれば、標準でタイトルバーの左端に配置されているクイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコン(コマンド)を追加しておくとよい。

 クイックアクセスツールバー右端のボタンを押し、メニューから[その他のコマンド]を選ぶ([ファイル]タブの[オプション]−[クイックアクセスツールバー]を選んでもよい)。

 [Excelのオプション]ダイアログの[クイックアクセスツールバー]画面が開くので、[コマンドの選択]プルダウンリストで[ホーム]タブを選択する。

 その下のリストから[縦書き](スライドバーを上から3分の2くらいまで動かすと見つかるはずだ)を選択し、真ん中の[追加]ボタンをクリックしたら、[OK]ボタンをクリックする。これで、クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンが追加される。

クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(1) クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(1)
クイックアクセスツールバー右端のボタンを押し、メニューから[その他のコマンド]を選ぶ。
クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(2) クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(2)
[Excelのオプション]ダイアログの[クイックアクセスツールバー]画面が開くので、[コマンドの選択]プルダウンリストで「[ホーム]タブ」を選択する。下のリストから[縦書き]を選択し、真ん中の[追加]ボタンをクリックする。
クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(3) クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンを追加する(3)
クイックアクセスツールバーに[縦書き]アイコンが追加され、このアイコンをクリックするだけで、選択したセルの文字列を縦書きにできるようになる(もう一度クリックすると横書きに戻る)。

 これでクイックアクセスツールバーに[縦書き]ボタンが追加される。縦書きにしたい場合は、セルを選択して、クイックアクセスツールバーの[縦書き]ボタンを押せば、セル内の文字列が縦書きになる(もう一度押すと横書きに戻る)。なお、クイックアクセスツールバーについては、Tech TIPS「【Excel】よくやる操作をキー一発で可能にする方法(クイックアクセスツールバー編)」を参照してほしい。

更新履歴

【2025/10/22】「フォント名に「@」を付けて右に90度回転させて縦書きにする」「テキストボックスを使って縦書きにする」などを追記しました。

【2022/12/23】最新の状況に合わせて記事を更新ました。また、縦書きにする際の注意点を追記しました。

【2019/12/2】初版公開。


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