Excelでさまざまな操作を行う際、ついついマウスに手が伸びてしまう。そのたびに、入力などが中断されることになる。キーボードによる操作を覚えれば、マウスに手を移動させる手間が省け、入力などが次々に行える。よく利用するキーボードによるセル移動の操作などをまとめてみた。
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対象:Excel 2013/2016/2019
「Excel(エクセル)」を使っている人を観察すると、かなり頻繁にマウスとキーボードの間で手を往復させていることに気が付く。キーボードで値を入力しては、次のセルをマウスで選択したり、表の別の位置を見るためにマウスホイールを操作したりしている。
しかし、これらの作業をキーボードから行えば、マウスとキーボードの間で手を往復させずにすむため、素早く操作を続けることが可能だ。本Tech TIPSでは、ついついマウスで行いがちな操作をキーボードから行う方法を紹介する。
紙の資料などを見ながらセルを入力していくとき、場合によっては、右から左へ入力していきたくなることがある。あるいは、資料のデータの並びによっては、左から右、あるいは下から上といった順にした方がよい場合がある。
セル入力後に[Enter]キーを押すと、Excelでは、必ず下のセルがアクティブセルになる。しかし、[Tab]キーと[Shift]キーを組み合わせることで、Excelでは、セルへの入力後に上下左右の4つの隣接するセルへ移動させることが可能だ。これにより、セルへの連続した入力は上から下だけでなく、左から右へも、これらの逆方向でも行うことができる。複数のセルを選択した状態の場合、選択したセル範囲でアクティブセルが移動する。
Excelで頻繁に行う操作の1つに、ワークシートのズーム操作がある。[Ctrl]キーを押しながらマウスホイールを動かせば、ズームレベルが簡単に変更できるため、大きな表を扱うときなどに比較的よく行う操作だ。
しかし、これもキーボードから行うことが可能だ。そのためには、ステータスバー右端にある「ズームスライダー」と「ズームレベル表示」を使う。
もし、ステータスバーにズームレベルやズームスライダーが表示されていなかったら、ステータスバー上で右クリックしてコンテキストメニューからこれらの表示を「オン」にしておく。この操作は1回だけ実施すればよい。
なお、ズーム以外の項目を表示させても問題はないが、ズームスライダーの左に表示される「表示選択ショートカット」は選択状態が分かりにくいため、「オフ」にしておくとよい。
[F6]キーを2回押すとステータスバー右側がアクティブになる。前回最後に選択したところが再度選択されるが、初めて使う場合には左端に表示されているGUIオブジェクトが選択される(ステータスバーの設定により表示されるGUIオブジェクトが異なるため、それぞれの環境で異なる)。
ここでは、上下左右のカーソルキーや[Tab]キー/[Shift]+[Tab]キー(逆順)でGUIオブジェクトが選択可能だ。ここで、ズームスライダー両端の「+」「−」を選択したとき、[Space]キーや[Enter]キーでズームレベルを10%で増減できるようになる。一回キーボードから「+」「−」を選択してズームを変更したあと、[F6]キーの連打で前回選択した「+」「−」のどちらかが選択される。
頻度が高いなら、後述のズームレベルの表示もやめてズームスライダーのみにすると、カーソルキーや[Tab]キーのどれを使っても、「+」「−」を交互に選択するようになる。そうなると、ステータスバーを見る必要もない。
また、この[F6]キー連打のキーボードシーケンスは、Microsoft Wordなど他のOfficeプログラムでも有効である。それぞれでステータスバーの設定をしておけば、どのOfficeアプリケーションでも同じように操作できる。
ステータスバーで前述の「ズーム」を選択したときには、[Space]キーや[Enter]キーで[ズーム]ダイアログが開く。このダイアログは、[Alt]キーを押しながら[W]、[Q]キーと続けて押しても開くことができる([W]と[Q]キーを同時に押すのではないので注意)。
[ズーム]ダイアログでは、カーソルキーや数字キーでズームレベルを選択でき、[Enter]キーでズームを実行することも可能だ。例えば、ダイアログが表示されているとき、[2]キーに続いて[Enter]キーを押すことでズームレベルを200%に設定できる。あるいは[1]キー、[Enter]キーで100%に戻すことができる。ワークシートでセル範囲が選択されている場合は、[F]キー、続いて[Enter]キーで、選択範囲がウィンドウに収まるように最大の倍率で表示される。操作を終えるときや途中でキャンセルしたいときには、[Esc]キーを押す。
動作 | キー |
---|---|
選択範囲をズーム | [F]、[Enter] |
100% | [1]、[Enter] |
200%拡大 | [0]、[Enter] |
指定倍率 | [C]、数字、[Enter] |
75% | [7]、[Enter] |
50% | [5]、[Enter] |
25% | [2]、[Enter] |
キーボードによる[ズーム]ダイアログの操作 |
前述した[F6]キーは、実は「シートタブ」「ステータスバー」「リボンタブ」を順番に選択するキーボードショートカットだ。[Shift]+[F6]キーでは、逆順に「リボンタブ」「ステータスバー」「シートタブ」の順に選択する。
覚えておくと、タブ切り替えやリボン操作をキーボードから行いやすい。なお、どちらの組み合わせでも、ステータスバーを選択するには[F6]キーを2回押す。
マウスのホイールを使ってワークシートをスクロールさせることもよくある操作だ。しかし、ホイールによるスクロールは、勢いがついて行き過ぎてしまうこともあり、表を丹念にチェックするような場合に見落としの原因にもなる。
この画面スクロールもキーボードから行える。[PgaeUp]キーと[PageDown]キー(ノートPCなどでは[PgUp]/[PgDn]と表記されていることもある)を使えば、表の上下スクロールが行える。左右スクロールは、[Alt]+[PgaeUp]キー、[Alt]+[PageDown]キーだ。
このとき、スクロールは、ウィンドウ内で完全に見えているセルの外側のセル(完全に表示されていないセル)が表示されるように行われる。このため、スクロールさせすぎてセルを見落としてしまうことがない。表内容のチェックなどでは、マウスのホイールを使うよりもキーボードを使った方が確実だ。
丹念に表をチェックしたいので、上下に1行ずつ、左右に1列ずつスクロールさせたい場合には、「ScrollLockモード」を使う。[ScrollLock]キーを押すと、ステータスバー左下に「Scrolllock」と表示され、「ScrollLockモード」となる。
なお、ノートPCなどでは、キーボードに[ScrollLock]キーの表記がないものもある。キートップに表記はなくとも、そのような機種では、[Fn]キーの組み合わせで、[ScrollLock]キーの入力が可能なことが多い。例えば、日本HPでは[Fn]+[C]キー、DELLでは[Fn]+[S]キーが、Lenovoでは[Fn]+[K]キーが[ScrollLock]キーに割り当てられているようだ。ただし、メーカーや機種によっても異なることがあるようなので、マニュアルやメーカーのサポートサイトなどで確認するとよい。
なお、[ScrollLock]キーを「オン」にしても、ステータスバーに「ScrollLock」と表示されない場合は、ステータスバーにScrollLockの状態が表示されないように設定されている可能性がある。ステータスバーを右クリックして、メニューの[ScrollLock]がチェックされていない場合は、「ScrollLockモード」のオン/オフが表示されない。このメニューを表示した状態で、[R]キーを押して、チェックされた状態にしておこう。
「ScrollLockモード」がオンの状態でカーソルキーを使えば、上下左右に1行、1列単位で画面をスクロールさせることができる。もちろん、通常状態でもカーソルキーを使えば、上下左右の端で1行/1列単位でスクロールさせることが可能だ。
しかし、このモードが便利なのは、マウスホイールでのスクロールと同じくアクティブセルを移動させないことだ。このため作業中のセルを見失わないで済む。再度、[ScrollLock]キーを押せば、「ScrollLockモード」が終了する。
スクロールされた状態からアクティブセルの編集状態に戻るならば、[F2]キーを押せばよい。セルが表示されて編集状態になる。編集しないなら、[Esc]キーを押す。あるいは、カーソルキーの左右(または上下)を連続して押して、隣のセルに移動させてすぐに戻す操作でもアクティブセルを表示できる。
シートタブやブックを切り替えるときにも、マウス操作はよく使われる。しかし、これもキーボードから簡単に行える。
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