ソニー銀行執行役員の福嶋達也氏は2020年1月20日、アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンが大阪ローカルリージョンを2021年に通常リージョン化すると発表したのに合わせ、同行が勘定系システムの更改方式について具体的な検討に入ったことを説明した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
ソニー銀行執行役員の福嶋達也氏は2020年1月20日、アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンが大阪ローカルリージョンを2021年に通常リージョン化すると発表したのに合わせ、同行が2019年12月、全業務で制限なしにAWSを利用できるよう機関決定したことを明らかにし、これに基づいて勘定系システムの更改について具体的な検討に入ったと語った。
ソニー銀行は、大阪ローカルリージョン開設のきっかけを作った1社。基幹系業務をAWSに移行する前提として、第2の国内リージョン開設を働きかけていた。
同行は2013年末に、周辺系システムと開発環境、一般社内業務システムのAWSへの移行を開始し、2019年秋にはこれを完了した。また、勘定系システムの一部である財務会計システムについても、「Oracle E-Business Suite」による新システムを、東京リージョンがメイン、大阪ローカルリージョンがバックアップの構成で、2019年秋に稼働開始した。
また、端末における「Amazon WorkSpaces」(仮想デスクトップサービス)の活用も進めている。2019年4月には、社内業務端末で導入を完了。営業店舗などで用いる銀行業務端末についても、上述の機関決定に基づき、2020年度前半に全面導入するという。
大阪のフルリージョン化を受けた機関決定で、残る「本丸」ともいえる勘定系システムのAWS移行についても裏付けが得られ、更改方式を検討しているところという。
新システムのアーキテクチャは決定しているわけではないが、コンテナ、マイクロサービスに基づくクラウドネイティブなシステムを志向しているという。
コンテナに関して、AWSでは「AWS Fargate」というサーバレスサービスを提供。これによってユーザー側はサーバ(仮想インスタンス)の運用を意識しなくて済み、可用性も自動的に確保されるようになっている。福嶋氏は、こうしたサービスを東京/大阪の両リージョンにまたがって活用することで、単一リージョンよりもさらに高い可用性が担保できることを指摘した。
AWSの東京リージョンでは2019年8月に大規模障害が発生したが、福嶋氏は「(単一リージョンでの)マルチAZ(アベイラビリティゾーン)を越えて、マルチリージョン構成がとれるので、可用性については心配していない」と話した。
福嶋氏は、メガクラウドには世界中の先進的なノウハウや技術が集まるため、ユーザー組織と数社のパートナーだけではできないことを実現できるとも話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.