三谷産業は、同社の社員を対象にテレワークに関する調査を実施した。テレワークに満足している人は3割で、満足度が高い人は生産性も向上している傾向にあった。個人に合った働き方を実現させるきっかけとして、テレワークを好意的に受け止めている人が多いようだ。
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三谷産業は2020年4月23日、同社の社員を対象に実施したテレワークに関する調査結果を発表した。それによると、満足度では「満足」が「不満」を上回り、生産性と満足度は正の相関関係にあることが分かった。
三谷産業は、2019年2月にテレワークを制度化し、2020年1月末からテレワークを推奨。その後、2月末には公共交通機関で通勤している従業員を基本的にテレワークとし、3月下旬には首都圏勤務者を原則テレワークとした。4月には、緊急事態宣言の対象地域で勤務する全ての社員を原則テレワークにするなど、段階的にテレワーク実施率を高めてきた。
今回の調査目的は、スポット的なテレワークの利用とは性質の異なる課題の発見や、そうした状況下で社員がそれぞれに工夫している取り組みを収集し、今後のテレワークの継続に役立てること。
調査結果を見ると、テレワークに対する総合的な満足度は高い。回答率が最も高いのは「どちらとも言えない」の44%だったが、「非常に満足」または「やや満足」と回答した割合は、「非常に不満」または「やや不満」よりも高かった。具体的には、「非常に満足」は4%、「やや満足」は28%、「非常に不満」は8%、「やや不満」は16%だった。
生産性は「あまり変わらない」と回答した割合が41%で最も高く、次いで「やや下がっている」が38%、「非常に下がっている」が11%だった。それに対して「やや高まっている」は9%、「非常に高まっている」は1%にすぎない。
生産性と満足度について相関を調べると、正の相関関係があることが分かった。生産性が高まっていると回答した人は、テレワークについても満足との回答が圧倒的多数だった。これに対して生産性が下がっていると回答した人は、テレワークについて不満と感じる割合が高かった。
次に、「テレワークで良かったと感じること」を聞くと、「ウイルス感染に対する不安が減る」との回答が最も多く、75%(複数回答)を占めた。次いで、「満員電車などの通勤のストレスがなくなる」(49%)、「睡眠時間が増える」(40%)、「静かな環境で業務に集中しやすい」(39%)が続いた。
テレワークで不便を感じることでは、「チーム内で作業負担のばらつきがある」が31%(複数回答)。「他部署の人と接点がなくなった」(31%)、「勤務時間の管理が難しい」(22%)といった回答があった。「通信環境の問題」を挙げた割合も高かった。
コミュニケーションで不都合を感じるか、という設問については、72%の人が「コミュニケーションに不都合がある」と答えた。その要因として「通信環境が悪い」(69%:複数回答)、「姿が見えず声をかけづらい」(46%)、「画面や紙書類、ホワイトボードなどを見ながらの話がしづらい」(31%)などが挙がった。
このようにコミュニケーションに不都合を感じる中、多くの従業員が社内チャットやWeb会議システムといったツールを積極的に駆使して、チームワークを保っていた。「ツールを活用しながら通常勤務時より多く会話や接点を持つように心掛けている」「冷たい印象にならないように文面に気を遣っている」「部署の中で毎朝Web会議を用いて顔を見ながらコミュニケーションしている」「意識的にくだけた話題も取り入れている」といった意見が聞かれた。
一方、技術系や管理系の職種では、テレワークの実施率が比較的低くかった。技術系は、現地での業務、例えば建設現場での施工管理や機械設備を用いる業務などテレワーク対応できないものがあるためだ。「新型コロナウイルス感染症の感染リスクを抑制するためにはテレワークに代わる施策が必要」という課題が明らかになった。
なお、新型コロナウイルス感染症が収束した後、通常の勤務体制に戻っても、テレワークの実施を希望する人が大半を占めた。具体的には、「週2回以上」と回答した割合は17%、「週1回程度」と「月1〜3回程度」はいずれも32%で、「基本的にテレワークは実施しない」との回答は19%だった。
三谷産業は今回の調査結果を受けて、「通信環境やコミュニケーションに起因する課題はあるが、より個々人に合った柔軟な働き方を実現させるきっかけとして、テレワークを好意的に受け止めている人が多いようだ」と分析している。
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