本連載ではこれまで、Windows 10の新規インストールで作成される「不適切なパーティション構成の問題」について何度か取り上げました。この問題は、Windows 10の初期バージョンから潜在的に存在し、Windows 10 バージョン1803以降、顕在化するようになりました。長らく放置されてきたこの問題ですが、間もなくリリースされる予定の「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」(通称、20H1)でようやく解決されるようです。なお、本稿は開発中のInsider Previewビルドに基づいていますが、完成版にもおそらく適用されます。
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「Windows 10」の推奨パーティション構成は、OSディスクの最後尾に「回復パーティション」を配置した構成です。回復パーティションには「Windows回復環境」(WinRE、\Recovery\WindowsRe\winre.wim)がセットアップされ、「reagentc /info」コマンドを管理者として実行することで、その場所(ディスク番号、パーティション番号、ディレクトリパス)を確認することができます。
しかしながら、本連載の第116回、第154回で説明したように、Windows 10の新規インストールの際、「Windowsセットアップ」でインストール先ディスクを選択するだけで、パーティションの構成を「Windowsセットアップ」に任せてしまうと、「Windows 8.1」以前の古いパーティション構成でセットアップされてしまいます。
具体的には、UEFIシステムの場合は、回復パーティションはディスクの先頭に配置され、WinREがそこにセットアップされます。BIOSシステムの場合は、ディスクの先頭のシステムパーティションにWinREもセットアップされます。WinREのイメージ(winre.wim)サイズがそのパーティションに格納するのに十分に小さければ(格納するのとは別に、追加の空き領域も必要です)、当面の問題は発生しません。
しかし、WinREのイメージのサイズが大きくなると格納できなくなり、その結果、Windowsのインストール先と同じC:ドライブ上にWinRE(C:\Recovery\WindowsRE\winre.wim)がセットアップされてしまうのです(画面1)。本連載の第154回で紹介したように、最新のWindows 10 バージョン1909でもWinREがC:ドライブにセットアップされてしまう問題が発生しました。
C:ドライブ上にWinREがセットアップされてしまうと、「BitLockerドライブ暗号化」をセットアップする際、手動でWinREを別のパーティションに再配置するという手間が必要になります。
また、古いパーティション構成でセットアップされた場合、次回の機能更新プログラムによるアップグレード時に、余計な空のパーティションが増えてしまいます。アップグレード時にWindows用パーティションが縮小され、最後尾に回復パーティションが作成され、結果としてUEFIシステムの場合は先頭のパーティションが空になるからです。
この問題を回避するには、新規インストール時に「DISKPART」コマンドで推奨パーティション構成を手動で構成してインストールするか、インストール後にWindows用のパーティションを縮小して、回復パーティションの作成とWinREの配置を手動で行う必要があります。
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