Azure App ServiceがWindowsコンテナを正式サポート、スケーラビリティとコスト効率を兼ね備えた新料金プランも登場Microsoft Azure最新機能フォローアップ(124)

2020年9月22日(米国時間)、Azure App ServiceのWindows Serverコンテナのサポートが一般提供になりました。また、2020年10月9日(米国時間)から、従来プランよりも高いスケーラビリティを備え、コスト効率の良いApp Serviceの新料金プラン「Premium V3(Pv3)」が利用できるようになりました。

» 2020年10月16日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

App ServiceにおけるWindowsコンテナ対応の一般提供開始

 Microsoftは2020年9月22〜24日(米国時間)に開催したバーチャルイベント「Ignite 2020」に合わせ、「Azure App Service」におけるWindows Serverコンテナ(以下、Windowsコンテナ)サポートの一般提供を発表しました。一般提供になったことで、これまでの50%のプレビュー割引料金は適用されなくなることに留意してください。

 App Serviceのコンテナ対応は「Web App for Containers」とも呼ばれ、LinuxまたはWindows ServerのDockerコンテナをデプロイして、アプリを素早く実行できるものです。Linuxコンテナのサポートは早くから一般提供されていましたが、本連載第76回で紹介したようにWindowsコンテナは評価用のプレビュー提供でした。Windowsコンテナのサポートが一般提供されたことで、ようやく運用環境での利用が可能になりました。

 App Serviceを利用してWindowsコンテナをデプロイするには、「Webアプリ」のリソースを作成し、リソースグループ、インスタンス名を指定して、公開オプションとして「Dockerコンテナー」、オペレーティングシステムとして「Windows」を選択します(画面1画面2)。また、デプロイ先のAzureリージョン(地域)と料金プラン(App Serviceプラン)を指定します。

画面1 画面1 「Webアプリ」のリソースを作成する
画面2 画面2 公開「Dockerコンテナー」、オペレーティングシステム「Windows」を指定する

 2020年9月末時点で利用可能なリージョンは、米国東部(East US)、米国西部(West US)、米国中西部(West Central US)、北ヨーロッパ(North Europe)、西ヨーロッパ(West Europe)、オーストラリア東部(Australia East)、東南アジア(Southeast Asia)です。また、Windowsコンテナの作成には、「PC2 Premiumコンテナ」(Azure Compute Unit合計320、8GBメモリ、Dv3計算能力)以上の料金プランが必要です。その他のリージョンを選択することも可能ですが、最終段階でデプロイに失敗します。

 現在、App Serviceでは、「Windows Server 2016」のServer Coreイメージ(mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2016)、「Windows Server 2019」のServer Coreイメージ(mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2019)、「Windows Server, version 1809」以降の半期チャネル(SAC)のNano Serverイメージ(mcr.microsoft.com/windows/nanoserver:1809〜2004)のベースOSイメージに基づいたWindowsコンテナをサポートしています。.NET Frameworkアプリおよび.NET CoreアプリでサポートされるベースOSイメージの最新情報については、以下のドキュメントで確認してください。

 Windowsコンテナのイメージは、以下の4つのいずれかのイメージソースから指定できます。

  • クイックスタート(windowsservercore:ltsc2016ベースのASP.NETアプリ)
  • Azure Container Registry(ACR)
  • Docker Hub
  • プライベートリポジトリ

 Microsoftの公式イメージを提供するmcr.microsoft.comのパスを直接指定することもできます。例えば、以下のWindows Server, version 1809 Nano Serverベースの.NET Core Samplesアプリをデプロイするには、イメージソースとして「プライベートリポジトリ」を選択し、サーバURLに「https://mcr.microsoft.com」を指定して、mcr.microsoft.comから始まるイメージのパスとタグを指定します(画面3)。

画面3 画面3 mcr.microsoft.comで提供されている.NET Coreアプリサンプルのイメージを指定した例

 次の画面4はWindows Server 2016ベースのASP.NETアプリのサンプル(クイックスタートをデプロイ)、画面5はWindows Server, version 1809 Nano Serverベースの.NET Coreアプリのサンプルをデプロイしたものです。

画面4 画面4 クイックスタートでデプロイしたWindows Server 2016ベースのASP.NETアプリのサンプル
画面5 画面5 mcr.microsoft.comのイメージをデプロイしたWindows Server, version 1809 Nano Serverベースの.NET Coreアプリのサンプル

App Serviceの新料金プラン「Premium V3(Pv3)」提供開始

 2020年10月9日からは、App Serviceにおいて新しい料金プランである「Premium V3(Pv3)」の提供も始まっています(画面6)。新プランは、2/4/8コアのプロセッサ能力と、最大32GBのメモリを提供するもので、大規模な運用環境に必要なスケーラビリティを提供します。

画面6 画面6 「Premium V3(Pv3)」プランは、コスト効率が高く、スケーラビリティの優れた新料金プラン

 より競争力のある価格が設定されており、「Premium V2(Pv2)」よりもコスト効率が高く、より高いパフォーマンスを提供します。新料金プランは、WindowsおよびLinuxコンテナのデプロイと実行にも適用され、Windowsコンテナの既定プランは「Premium V2」ベースの「PC2」(2コア、8GBメモリ)から「Premium V3」の「P1V3」(2コア、8GBメモリ)に変更され、単価は月額1万5587.22円(ただし、プレビュー期間のWindowsコンテナは50%割引)から月額1万465.28円と3割以上値下がりしました。

最新情報

 2020年10月16日時点で、東日本(Japan East)を含む、さらに多くのリージョンでWindows コンテナの展開が可能になっています。


筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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