「Visual Studio Code」の「October 2020」リリース(バージョン1.51)が公開多くの機能強化を実現

Microsoftは、クロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」の最新版「October 2020」リリース(バージョン1.51)を公開した。ワークベンチ、統合ターミナル、IntelliSense、Emmet、ソース管理、言語、ブラウザサポートなどの機能を強化した。

» 2020年11月24日 08時00分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2020年11月6日(米国時間)、WindowsやLinux、macOSに対応するクロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の最新版「October 2020」リリース(バージョン1.51)を公開した。

 VS Codeバージョン1.51では、ワークベンチ、統合ターミナル、IntelliSense、Emmet、ソース管理、言語、ブラウザサポート、拡張機能などの機能が追加、改善された。

ワークベンチ

固定されたタブの視認性が向上

 固定されたタブがピンアイコンを表示するようになり(非アクティブの場合も)、見つけやすくなった。固定されたタブに未保存の変更が含まれる場合、それを示す黒丸もタブに表示される。

非アクティブの固定されたタブがピンアイコンと黒丸を表示(出典:Microsoft)《クリックで拡大》

拡張機能ツリーでカスタムホバーが利用可能に

 拡張機能ツリービューでネイティブツールチップではなく、クロスプラットフォームで一貫性があり、全体的なUX(ユーザーエクスペリエンス)に合ったカスタムホバーが表示されるようになった。

カスタムツリーホバー(出典:Microsoft)

拡張機能を同期なしでインストール

 設定の同期が有効化されている場合に、拡張機能を同期せずにインストールできるようになった。

拡張機能を同期なしでインストール(出典:Microsoft)《クリックで拡大》

エクスプローラから拡張機能をインストール

 エクスプローラで拡張機能のVSIXファイルを右クリックし、コンテキストメニューを使って、拡張機能をインストールできるようになった。

入力からフォーカスを削除

 新しい内部コマンド「workbench.action.blur」が使用可能になった。このコマンドは、あらゆるフォーカス可能な入力からフォーカスを削除する。キーボードショートカット設定で、このコマンドにキーボードショートカットを割り当てることができる。

統合ターミナル

ローカルエコー

 ターミナルに「ローカルエコー」モードが導入された。これによってターミナルは、ローカルで変更やカーソル移動が行われると、リモートサーバとのやりとりを待つことなく、それらの変更や移動を予測してUIで表示するようになった。デフォルトでは、予測された文字は暗く表示される。

 ローカルエコーは、次の2つの設定を使って構成される。

  • terminal.integrated.localEchoLatencyThreshold:ローカルエコーは、この設定で指定されたしきい値(ミリ秒)を超えたネットワーク遅延が検出されると、アクティベートされる。デフォルトは30
  • terminal.integrated.localEchoStyle:ローカル文字のスタイルや色を指定する。デフォルトはdim

IntelliSense

候補リストと詳細ペインのサイズ変更が可能に

 候補リストや詳細ペインの右枠や右下隅をドラッグして、これらをサイズ変更できるようになった。

 候補リストのサイズは、保存して別のセッションでリストアできる。詳細ペインはセッションごとにしか保存できない。

候補リストのステータスバー

 候補リストの最下部にステータスバーを表示できるようになった。この表示は、「editor.suggest.showStatusBar」設定で有効化できる。ステータスバーは、詳細の簡単なトグル表示を可能にし、入力候補が挿入、置換、その両方のいずれをサポートするかを表示する。

候補リストのステータスバー(出典:Microsoft)《クリックで拡大》

 上の例では、挿入を選ぶと「Math.floorceil」となり、置換を選ぶと「Math.floor」となる。

カーソルを移動して候補を選択

 入力候補の表示時にカーソルを移動できるようになった。例えば、単語の末尾で候補をトリガーし、カーソルを左に移動しながらさらに候補を確認し、置換を使って単語を上書きするといったことができる。

Emmet

 Emmetでカスタムスニペットが再び使えるようになった。また、スニペットファイルの保存時や「emmet.extensionsPath」設定の更新時に、スニペットが自動的に更新されるようになった。

ソース管理

ソース管理の入力ボックスがコミットメッセージの履歴を保存

 ソース管理の入力ボックスで[Up]や[Down]を押すと、それぞれ前のコミット、次のコミットが表示される。入力ボックスの先頭または末尾に移動するには、[Alt]を押しながら、対応する矢印キーを押す。

Git:サブメニューのタグコマンド

 タグ関連のGitコマンドが[... Git]メニューに追加された。

サブメニューのGitタグコマンド(出典:Microsoft)

Git:リベースコマンド

 Gitのブランチリベースのコマンドが追加され、UIを使ってブランチをリベースできるようになった。

Git:再帰的クローンコマンド

 Gitのクローン(再帰的)コマンドにより、Gitリポジトリ(ネストされているGitサブモジュールを含む)を再帰的にクローンできるようになった。

タイムライン:絵文字のショートコードレンダリング

 タイムラインビューで「:smile:」のような絵文字のショートコードがレンダリングされるようになった。

絵文字を表示するタイムラインビュー(出典:Microsoft)

言語

Markdownドキュメントでのスマート選択

 次の新しいコマンドにより、Markdownドキュメントで選択箇所の展開、折りたたみが可能になった。

  • 展開:[Shift]+[Alt]+ 右矢印
  • 折りたたみ:[Shift]+[Alt]+ 左矢印

 選択は次の項目に適用され、従来の階層パターンに従う。

  • ヘッダ
  • リスト
  • ブロッククオート
  • フェンスされたコードブロック
  • HTMLコードブロック
  • 段落

JavaScriptとTypeScriptにおける空の中括弧の設定オプション

 新しいフォーマット構成オプションである「javascript.format.insertSpaceAfterOpeningAndBeforeClosingEmptyBraces」と「typescript.format.insertSpaceAfterOpeningAndBeforeClosingEmptyBraces」は、空の中括弧内にスペースが挿入されるかどうかを制御する。これらの設定のデフォルト値はtrue。例えば、次のJavaScriptで、

class Foo {
  doFoo() {}
}

「javascript.format.insertSpaceAfterOpeningAndBeforeClosingEmptyBraces」をfalseに設定し、コードをフォーマットすると、次のようになる。

class Foo {
  doFoo() {} // スペースが削除されている
}

ブラウザサポート

フォルダをダウンロード(「Microsoft Edge」「Google Chrome」)

 ブラウザで実行されているVS Codeは、新しいFile System Access APIを利用して、ファイルエクスプローラから、全てのファイルとフォルダをディスクにダウンロードできるようになった。

ワークスペースを開くときの確認メッセージ

 「.code-workspace」ファイルを最上位レベルに含むフォルダを開くと、開くかどうかを尋ねる確認メッセージが表示されるようになった。デスクトップのVS Codeでは常にそうだったが、ブラウザ内で動作しているVS Codeも同じ挙動となった。

ワークスペースを開くかどうかを尋ねる確認メッセージ(出典:Microsoft)

うっかり閉じる操作を防止

 新しい「window.confirmBeforeClose」設定が追加され、ワークベンチを閉じたり、ワークベンチから離れたりする前に、確認メッセージが表示されるようになった。

 この設定では、次の値を指定できる。

  • keyboardOnly:キーボードショートカットで閉じる場合にのみ、確認メッセージが表示される
  • always:マウス操作で閉じる場合を含めて、常に確認メッセージが表示される
  • never:確認メッセージは常に表示されない
閉じるかどうかを尋ねる確認メッセージ(出典:Microsoft)

 ただし、ブラウザが確認なしでタブやウィンドウを閉じる場合もある。

拡張機能

「GitHub Pull Requests and Issues」拡張機能

 GitHubのプルリクエストとイシューを作成、管理できる「GitHub Pull Requests and Issues」拡張機能の開発が引き続き進められ、新機能の追加と機能改良が行われた。

「Remote Development」拡張機能パック

 「Remote Development」拡張機能パックのバージョン1.51における機能強化のハイライトは次の通り。

  • ターミナルセッションの永続/再接続機能
  • ポートフォワーディング機能の向上

 この拡張機能パックの導入により、コンテナやリモートマシン、WSL(Windows Subsystem for Linux)を、全ての機能を備えた開発環境として利用できる。この拡張機能パックには「Remote - SSH」「Remote - Containers」「Remote - WSL」の各拡張機能が含まれる。

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