デザインが関わるプロジェクトで起きがちな「好き勝手な指示」「どんどん増える要望」について対策方法を解説します。
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大きなプロジェクトになればなるほど、関係者の数や承認を受けなければいけない回数が増えていきます。上司に言われた通りに修正し続けた結果、誰をターゲットに作っているものか分からなくなるという“わな”に陥りがちです。
徹底的に議論し、綿密な計画を立て、何度も設計をやり直し、やっとデザインにこぎ着けたというのに、デザイナーから上がってきたデザインを上司に見せると、ここまでの行程を無視して好き勝手な指示が飛ぶ。その指示をそのままデザイナーに伝えても、上がってきた修正は全く良いものに見えません。原因は一体何でしょうか。
「指示を出してきた上司が悪い」と言ってしまえば簡単ですが、何の解決にもなりません。では、ぶっきらぼうに指示を出す上司を何とかしつつ、デザイナーとプロジェクトを完成させる方法はあるのでしょうか。
まず、担当者(依頼者)であるあなたは、デザイナーと対等な関係を築きましょう。「このクライアントには何を言っても無駄」と思われていたらまずい状況です。どのようなフィードバックをしても言われた通りに上がってくるだけで、提案をされることはありません。時間をかけて作った設計を無視していれば、プロジェクト破綻まっしぐらです。
第1回でも解説したようにデザイナーには「まず相談」です。上司の言ってくる無理難題をそのままデザイナーに戻さず、相談してみましょう。上司が思っていることを理解して、新たな提案とともに修正してくれるかもしれません。
本当に無理難題ならば、論理的に「この修正でこのプロジェクトの目的が達成できない理由」を解説してくれるはずです。そのときはもう一度上司に、プロジェクトの目的、デザイナーの意見、そして依頼主であるあなたの意見を説明してみてください。
上司に確認をとる場合は、何が必要なのか明確にします。得たいものは「フィードバック」です。「承認」ではありません。建設的な意見をもらえるように質問の方法を考えます。
「このデザインでどうでしょうか?」と上司に聞いてはいけません。どうでしょうか、と聞くと、好き、嫌い、ちょっと微妙、という感覚的な話になりがちだからです。デザイナーは目的を達成するために文字の大きさ、ボタンの配置、全体の色を決めています。「目的を達成するために、このようなデザインにしました。足りないと思う機能はありますか?」というように上司が答えやすい質問をしましょう。そうすれば適切なフィードバックが得られるはずです。
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