「COVID-19の影響が比較的軽微な製品」が市場をけん引 IDCが新型コロナの影響を考慮して予測を更新国内IT市場は1.9ポイント改善

IDC Japanは、2020年9月末時点の新型コロナウイルス感染症による影響を考慮し、国内IT市場の予測を更新した。2020年のIT市場を対前年比6.3%減の17兆1162億円と予測しており、2020年8月に発行したレポートから1.9ポイント改善した。

» 2021年01月08日 08時00分 公開
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 IDC Japan(以下、IDC)は2020年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮し、国内IT市場の予測を更新した。同社は2020年のIT市場を対前年比6.3%減の17兆1162億円と予測しており、2020年8月に発行したレポートから1.9ポイント改善した。

画像 産業分野別国内IT市場、2019〜2024年の支出額予測(出典:IDC

 2021年は、対前年比2.9%増に回復する見込みだ。ただし、COVID-19の感染拡大以前の水準に回復するのは2022年以降になる。IDCは「2019〜2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は1.2%で、2024年の市場規模は19兆3601億円」と予測する。

「COVID-19の影響が比較的軽微な製品」が市場をけん引

 IDCは「COVID-19の感染拡大によって国内経済は深刻な影響を受けているものの、製造業でのサプライチェーンの混乱は収まりつつある。だが、感染再拡大の兆候はあり、有効なワクチンや治療薬が国民に広く投与されるまでは予断を許さない」と分析している。

 製品別に見るとCOVID-19の影響が比較的軽微な「ソフトウェア」と「IaaS」(Infrastructure as a Service)が市場をけん引する。IDCはその要因を「クラウド化やサブスクリプション化、テレワークの進展によるコラボレーションツールの普及にある」とみている。ただし「PC」は、2019年の駆け込み需要の反動とサプライチェーンの混乱からマイナス成長になる見込み。「サーバ」については、COVID-19の研究対策に向けたスーパーコンピュータ「富岳」の前倒し導入によって需要に回復が見られる。

 一方、産業分野別では、2020年は教育を除く全産業分野でマイナス成長になる見込み。特に、製造や流通、運輸、個人向けサービス、建設が大きく影響を受ける。教育分野は、GIGAスクール対応のPC配備や校内の無線LAN環境整備の前倒しによって早期に回復すると予測する。

「ITサプライヤーは産業のデジタル化支援を」

 IDCは今回の市場予測について次のように述べる。

 「2020年前半でCOVID-19拡大の第一波は抑制され、経済活動が正常化しつつあった。だが、再び感染は拡大しており、回復の阻害要因となっている。今回の市場予測は、こうした状況でも一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が活発化し、景気対策の一環として政府によるIT投資が選択的に実施されることを前提にしている」

 IDC Japanの村西 明氏(ITスペンディング グループマネジャー)は、これら市場の変化の状況を踏まえ「ITサプライヤーはITを活用した生活やビジネスの変容を好機と捉え、データ入力、認証、照合、決済に至る全ての生活やビジネス手続きのデジタル化をあらゆる産業において支援することが重要だ」と述べている。

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