阿部川 趣味は何ですか。
ダンさん 結構いろいろあります。絵を描いたり、絵の具を絵に施したりするのが好きです。ヨガも好きで、1週間に3回ジムに通い、トレーナーたちとおしゃべりしながらトレーニングしています。パンデミックの現在はオンラインですが。トレッキングで山に出掛け、出会う人といろいろお話しするのも好きです。人によって話題はまちまちですが、いろいろな人と話すと人生が豊かな気持ちになります。
阿部川 このパンデミックの状況は、当初私たちが予想していたよりも長く続きそうですし、さまざまな場面で私たちに変化することを突き付けています。毎日の生活や仕事で、大きく変わったことはありますか。
ダンさん コミュニケーションが難しくなったと思います。オンラインだけのコミュニケーションでは誤解が起こりますし、また誤解が起こっているかどうかを見極めるのも難しくなっています。
また何か問題に突き当たったとき、オフィスにいたらすぐにフェースツーフェースで話して解決できますが、オンラインではなかなかできません。そして、問題に気付くまで、間違った方法で仕事を進めてしまいがちです。
また、ちょっと入り組んだアイデアやコンセプトをオンラインだけで理解させることも難しいと感じています。
阿部川 そのような問題を克服するためにどのようなことを行っていますか。
ダンさん ビジネスチャットやWeb会議を駆使していますが、まずは説明自体を違う表現や単語で、何度も行ったり、図を描いたりします。
阿部川 絵画の趣味がここで生きましたね(笑)。
編集部 日本は女性のエンジニアが少ないのですが、ベトナムはどうですか。
ダンさん POPS Worldwideは、女性エンジニアの割合が30%、テスティングチームはほとんど女性です。CEOが女性なので、女性の活躍する機会を積極的に提供しています。
しかし私の経験では、ベトナムの女性はIT業界に入ることをあまり勧められません。恐らくIT業界全体の20%程度しか女性はいないと思います。ベトナムでは、女性がやれるのは秘書や主婦であり、テクノロジーは向かないと考えられています。でも男性よりも優れた女性エンジニアはたくさんいますし、今後はもっと女性エンジニアが増えてくると思います。
編集部 女性エンジニアが増えるためには、何をすればいいでしょうか。
ダンさん 学校での教育を変えることが必要だと思います。現在でも「男の子は数学や科学が得意で、女の子は文学が好き」という偏見が続いています。まずはその考えを変え、科学やテクノロジーが好きな女の子もいることを理解しないといけないと思います。
そして、一般の人の認識というか態度でしょうか。私が「サイエンスやテクノロジーを勉強しています」というと、「えー、なぜそんなものを勉強しているのですか」という返事がよく返ってきました。実際にはそれらを勉強している女性は多くなっているにもかかわらずです。恐らく男性社会の歴史的な偏見だと思いますが。
私が子どものころ、両親はこれをやりなさいと私に強制したことはありません。私のやりたいことを自由にやらせてくれました。科学が好きだと分かると、科学関連の書籍をたくさん買ってくれて、それは私に大きな影響を及ぼしました。家庭での教育はとても大切で、それによって進路は左右されると思います。
阿部川 素晴らしいご両親に育てていただきましたね。
ダンさん (日本語で)ありがとう!
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