「Amazon Web Services」(AWS)活用における便利な小技を簡潔に紹介する連載「AWSチートシート」。今回は「Amazon Alexa」の発話により人間味のある表現力を付ける「Alexa Skills Kit」の2つの機能を紹介する。
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「Amazon Web Services」(AWS)活用における便利な小技を簡潔に紹介する連載「AWSチートシート」。
今回は、「Amazon Alexa」に「より人間味のある表現力を付ける方法」をお伝えします。Alexaを使ってできることや機能などの認知度が低いと思っているので、本稿がAlexa開発に興味を持つきっかけになれば幸いです。
AlexaはAmazon.comが手掛けるクラウドベースの音声サービスです。AWS上に構築された自然言語理解基盤を使うことで、音声を解析、返答します。
基本動作として「アレクサ」と話し掛けて、お願いや質問をするだけで、さまざまなことができます。「アレクサ、朝7時に起こして」と言うと自動でタイマーがセットされますし、「アレクサ、今日の天気は?」と言うと天気を教えてくれます。
下記は、仕組みの詳細です。
人が発した言葉を学習してその精度を高める作業は全てAWSの機械学習基盤で用意されたAIモデルがやってくれます。自前で膨大な自然言語データを訓練する必要がなく、ユーザー体験を作り込むために必要な開発に集中できるのがAlexaの利点です。
このAlexaの機能を使って「Alexaスキル」というアプリケーションを開発することができます。多少のプログラミングの理解は必要ですが、AlexaスキルはGUIベースでも開発できるキット「Alexa Skills Kit」が用意されているので、比較的簡単に作れます。
ここからは、Alexa Skills Kitの機能を使ってAlexaスキルにより人間味のある表現力を付ける方法を2つ紹介します。
Alexaで用意されている標準の読み上げ機能は、以前と比べて十分発音や発話がうまくなってきてはいるものの、やはり機械による読み上げ感が否めないシーンもあります。下記のような発話を聞いてみてください。
<speak> いってらっしゃい。お仕事頑張ってくださいね。 </speak>
やはりどこか機械が読んでいる印象を受けます。Alexa Skills Kitに用意されている「Speechcons」機能を使うと、もっと人間味のある表現力を付けることができます。使い方は至って簡単で、下記のように<say-as interpret-as="interjection">タグを使用して言葉を囲ってあげるだけです。
Speechconsを使った結果を聞いてみましょう。
<speak> <say-as interpret-as="interjection">いってらっしゃい。</say-as>. <say-as interpret-as="interjection">お仕事頑張ってくださいね</say-as>. </speak>
いかがでしょうか。かなり人間に近い読み上げになりました。ただし、Speechconsに含めることができる言葉は何でもいいわけではなく、Alexa Skills Kitが用意している語句のみで使用可能なので注意してください。
下記リンクから該当の語句を確認できます。
バリエーションが多く使えるのもあります。これを適宜組み合わせることでより表現力が豊かな応答ができます。
下記のような場合は、どうでしょうか。
<speak> 私の重大な秘密を教えてあげましょう。 実は、この前好きな人ができて、夏までに痩せたいので今頑張ってダイエットしてるんです。 </speak>
秘密という割にはそこまで隠していないといいますか、「あ、そうなんだね」と返事をしてしまいそうになります。「amazon:effect」を使ってみましょう。「name="whispered"」属性を追加することで、ささやき声で読ませることができます。
<speak> 私の重大な秘密を教えてあげましょう。 <amazon:effect name="whispered">実は、この前好きな人ができて、夏までに痩せたいので今頑張ってダイエットしてるんです。 </amazon:effect>. </speak>
いかがでしょうか。非常にリアリティーのある、秘密を共有しているかのようなささやき声に変わりました。
ユーザーは「自分が期待していた以上の体験ではない」と判断すると他の製品に移っていく傾向が高く、企業にとっては「その期待以上の体験をユーザーにどうやって届け続けるか」が重要です。
本稿で見てきた表現力の高さなどからも分かるように、Alexaはその“期待以上の体験”を作ることができる一つの武器として今後どの業界でも活躍できる可能性を秘めていると筆者は思っています。
今まで「Alexaスキル開発に関わったことがないから……」と足踏みしているなら、Alexa道場という公式動画を見ながら一緒に作ってみるといいかもしれません。
皆さんもAlexaスキルを開発してユーザーに“期待以上の体験”を届けてみてはいかがでしょうか。
株式会社システムシェアード xTechLab事業部
先端技術を使った新規事業創出に携わる。保有AWS認定資格は、「AWS認定ソリューションアーキテクト」「Alexa Skill Builder」など。AIや機械学習、IoT、サーバレスアプリケーションなど先端技術を追うことが趣味。好きなサービスは「AWS Lambda」「Amazon Rekognition」
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