Chromeの閲覧履歴をそもそも記録しないようにする方法Google Chrome完全ガイド

「Google Chromeの閲覧履歴は特に活用していない」「情報漏えいを防ぐために保存しておきたくない」「むしろのぞかれないように削除したい」という場合には、最初から閲覧履歴を記録しないようにすることもできます。その方法を幾つか紹介します。

» 2021年08月11日 05時00分 公開
[島田広道デジタルアドバンテージ]

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連載目次

閲覧履歴をいちいち削除するのは面倒! 閲覧履歴をそもそも記録しないようにできないの?

 「Google Chrome」(以下、Chromeと略)には、過去に開いたWebページの履歴を記録(保存)する「閲覧履歴」という機能があります。これは以前に参照したページを再度開きたい、といった機会があるなら便利です。

 しかし、そのような必要はない場合、閲覧履歴は他人に絶対漏らしたくないプライベートな情報の集まりに過ぎません。それなら、最初から記録されない方が漏えいにおびえずに済みますし、いちいち履歴を削除する手間もかかりません。

 そこで本稿では、Windows OS版Chromeを対象として、その閲覧履歴をそもそも記録させない方法を幾つか紹介します。

 手動で閲覧履歴を削除する方法については、「間違っても見られたくないChromeの閲覧履歴を選んで削除する」を参照してください。

シークレットモードやゲストモードを使う

 Chromeの「シークレットモード(シークレットウィンドウ)」で開いたページは、閲覧履歴に残りません。閲覧履歴を記録したくない場合は、まずシークレットウィンドウを開いて、そこからWebページの閲覧を始めるのが手軽で簡単でしょう。

 シークレットモードを呼び出すには、[Shift]+[Ctrl]+[N]キーを押すか、Chrome右上隅のメニューアイコン[]をクリックすると表示されるメニューで[新しいシークレットウィンドウ]を選択します。

シークレットウィンドウで開いたページは閲覧履歴が残らない シークレットウィンドウで開いたページは閲覧履歴が残らない

 シークレットモードよりプライバシー保護に優れている「ゲストモード(ゲストウィンドウ)」でも、閲覧履歴を残さずにWebページを閲覧できます。ゲストウィンドウを開くには、プロファイルアイコンをクリックして表示されるメニューで[ゲスト]を選びます。

ゲストウィンドウでも閲覧履歴は残らない ゲストウィンドウでも閲覧履歴は残らない

 ただ、どちらのモードも通常のモード(ウィンドウ)に比べて機能が制限されます。例えば認証の必要なWebサイトをシークレットウィンドウ/ゲストウィンドウで開くと、ログインの状態が保存されません。つまり、シークレットウィンドウ/ゲストウィンドウを開くたびにログインを行う必要があります。

通常モードでChromeの閲覧履歴を残さないようにする

 シークレットモードやゲストモードのような機能制限のない通常のモード(ウィンドウ)で、閲覧履歴を残さない方法もあります。ただし、Chromeの設定ページ(chrome://settings)などで手軽に設定することはできず、「ポリシー」または「レジストリ」の設定が必要です。

●グループポリシーの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにするには?

 Windows 10のPro/EnterpriseといったHome以外のエディションでは、Chromeを「グループポリシー」で設定できます。後述のレジストリ設定より簡単・安全なので、可能ならこちらの方法を実行してください(Homeエディションは後述のレジストリ設定しか方法がありません)。

 グループポリシーでChromeの設定を変えるには、まず以下のサイトから、Chrome専用の「ポリシーテンプレート」を入手する必要があります。

 上記ページの真ん中にある「ポリシー テンプレート」というリンクをクリックして、「policy_templates.zip」をダウンロードしたら、その中のファイルを対象のWindows PCへ、以下のようにコピーします。

コピー元ファイル(ZIPファイル内) コピー先フォルダ(Windows PC)
\windows\admx\chrome.admx %windir%\PolicyDefinitions\
\windows\admx\google.admx %windir%\PolicyDefinitions\
\windows\admx\ja-JP\chrome.adml %windir%\PolicyDefinitions\ja-JP\
\windows\admx\ja-JP\google.adml %windir%\PolicyDefinitions\ja-JP\
ポリシーテンプレートファイルのコピー元ファイルとコピー先フォルダ

 上記作業は1回だけ実施すればよいです。手順の詳細は、Google Chrome完全ガイド「ポリシーテンプレートで共有PCの勝手な設定変更を禁止する」を参照してください。

 上記のファイルコピーが完了したら、「グループポリシーエディター」というツールで設定を行います。

  1. 対象のWindows PCで[Windows]+[R]キーを押して[ファイル名を指定して実行]ダイアログを開き、「gpedit.msc」と入力して実行します
  2. グループポリシーエディターが起動するので、左ペインで[ユーザーの構成]−[管理用テンプレート]−[Google]−[Google Chrome]を選択します
  3. 右ペインで[ブラウザの履歴の保存を無効にする]をダブルクリックします。[設定]列の見出しをクリックしてソートし、「」から始まる項目を探すと見つけやすくなります
  4. 表示されたダイアログで[有効]を選択後、[OK]ボタンをクリックします
グループポリシーの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(1/2) グループポリシーの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(1/2)
グループポリシーの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(2/2) グループポリシーの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(2/2)

 上記の設定は、Windows OSにサインイン中のユーザーが起動するChromeだけに反映されます。全ユーザーに反映したい場合は、グループポリシーエディターの左ペインで、[ユーザーの構成]ではなく[コンピューターの構成]以下にある[管理用テンプレート]−[Google]−[Google Chrome]を選択してください。

●レジストリの設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにするには?

[注意]

レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリエディターの操作は慎重に行うとともに、あくまでご自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。


 Windows 10 Homeの場合、グループポリシーが利用できません。その代わりに、以下のレジストリエントリを直接編集することで、閲覧履歴を残さないようにできます。

項目 内容
キー HKEY_CURRENT_USERの
SOFTWARE\Policies\Google\Chrome
値の名前 SavingBrowserHistoryDisabled
REG_DWORD(DWORD 32ビット)型
値の内容 0: 閲覧履歴を残す(デフォルト)
1: 閲覧履歴を残さない
Chromeの閲覧履歴を残さないようにするためのレジストリエントリと値

 上表のレジストリキーの場合、Windows OSにサインイン中のユーザーが起動するChromeだけに設定が反映されます。全ユーザーに反映したい場合は、「HKEY_CURRENT_USER」ではなく「HKEY_LOCAL_MACHINE」以下にある「SOFTWARE\Policies\Google\Chrome」キーを選択してください。以下のレジストリエディターやコマンドラインでも、同様に差し替えてください。

 レジストリエディターの場合、[ファイル名を指定して実行する]ダイアログで「regedit」と指定して起動した後、以下のように設定します。

レジストリ設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(レジストリエディターの場合) レジストリ設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(レジストリエディターの場合)

 コマンドラインで設定するには、管理者権限でコマンドプロンプトを起動してから以下のようにreg addコマンドを実行します。

reg add HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Policies\Google\Chrome /v SavingBrowserHistoryDisabled /t REG_DWORD /d 1 /f

レジストリ設定でChromeの閲覧履歴を残さないようにする(コマンドラインの場合)

●設定後の確認と注意点

 設定後、すぐに閲覧履歴の保存は停止します(再起動は不要)。後は[Ctrl]+[H]キーを押して閲覧履歴ページを開いてから、Webページをいくつか閲覧して、履歴が増えないことを確認しましょう。

 注意が必要なのは、閲覧履歴を残さないように設定しても、それ以前の履歴は自動的に削除されないことです。これを削除するには、[Shift]+[Ctrl]+[Delete]キーを押して表示される「閲覧履歴データの削除」ダイアログで、[閲覧履歴]にチェックを入れて[データを削除]ボタンをクリックします。詳細については、「間違っても見られたくないChromeの閲覧履歴を選んで削除する」を参照してください。

 また、上記の設定をするとChromeの全プロファイルで閲覧履歴が残らなくなります。一部のプロファイルだけは閲覧履歴を残したい場合、Googleが提供している法人向けChrome対応管理サービスでポリシーを設定および適用する必要があります。iPhone(iOS)やAndroidなどのスマートフォンでChromeの閲覧履歴を残さないように設定する場合も同様です。

 その他、開いているタブの同期ができなくなる点にも注意が必要です。

同期している他のChrome搭載デバイスの閲覧履歴が一覧に表示されないようにする

 上記の設定で自身の閲覧履歴は残らなくなったにも関わらず、閲覧履歴の一覧ページ(chrome://history)に新たな履歴が追加され続けることがあります。その原因の1つには、別のChrome搭載デバイスで閲覧したページの履歴が、同期によって入り込んでくることが挙げられます。

 これを防ぐには、以下の手順で履歴の同期をオフにします。

  1. 閲覧履歴を残さないように設定したデバイスで、「chrome://settings/syncSetup/advanced」を開きます。あるいはメニューアイコン[]−[設定]−「Googleの設定」−[同期とGoogleサービス]−「同期」−[同期する内容の管理]とクリックしても構いません
  2. 同期をカスタマイズする]ラジオボタンを選択します
  3. 履歴]だけスイッチをオフにし、他の項目はオンにします(必要に応じてオフにしても構いません)
同期している他のChrome搭載端末の閲覧履歴が一覧に表示されるのを防ぐ 同期している他のChrome搭載端末の閲覧履歴が一覧に表示されるのを防ぐ

 上記の設定後、同期している他のデバイスのChromeでWebページを開いても、閲覧履歴の一覧ページには何も追加されないことを確認しましょう。

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