アジャイルとDevOpsはどう違う?両者を組み合わせることで、それぞれの制約を補える

アジャイルとDevOpsはいずれも、「最終プロダクトをできるだけ効率的かつ迅速に提供する」ことを目的としている。では2つの方法論は、どこが異なるのか。WhiteSourceは「チームと分担」「戦略とプロセス」に違いがあると主張する。

» 2021年08月23日 16時30分 公開
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 オープンソースセキュリティとライセンスコンプライアンス管理プラットフォームを手掛けるWhiteSourceは2021年8月5日(米国時間)、アジャイルとDevOpsの違いについて解説した。

 人気の高いモダンソフトウェア開発方法論であるアジャイルとDevOpsはいずれも、「最終プロダクトをできるだけ効率的かつ迅速に提供する」ことを目的にしているとの見方をWhiteSourceは示す。

 だが、「両者がどう違うのかについては、しばしば混乱が見られる。ほとんどの企業は、これらの開発プラクティスを展開したいと考えているが、適切な導入アプローチを見いだすのに苦労している」との認識から、この2つの方法論の類似点と違いに関する解説記事を公開したと説明している。概要は次の通り。

アジャイルとDevOpsの比較、チームと戦略

 アジャイルとDevOpsは、いずれもソフトウェア開発プロセスの改善を目指している。ソフトウェア開発における成果物の品質と効率、スピードを重視しており、リリースサイクルの短縮と頻繁なリリースも提唱している。

 両方法論を貫く1つの考え方が、「シフトレフト」だ。これは、ソフトウェア開発プロセスの早い段階で欠陥を発見、修正することで、ソフトウェア品質を高めるというものだ。

 では、アジャイルとDevOpsはどう違うのか。この2つの方法論は、同じ最終目標を目指しているが、そこに到達するためにたどるルートが異なっている。

チームと分担の違い

 アジャイルとDevOpsで大きく異なるファクターの一つが、「各チームがどのように構成され、機能するか」だ。

 DevOpsでは基本的に、開発チームと運用チームという2つの大きなチームが協力し、より迅速で信頼性の高いソフトウェアリリースを目指す。特定のスキルを持った人材が開発チームと運用チームに属しており、開発プロセスにおいて、両チームの全てのメンバーに、達成すべき特定の職務が割り当てられる。

 DevOpsのこのアプローチは、部門間のコラボレーションを促進し、開発チームと運用チームの衝突を軽減する。だが、このアプローチでは、各チームメンバーがそれぞれの担当分野で高いスキルを持っているものの、分野を越えた連携が限定的になる恐れがある。

 一方、アジャイルアプローチでは、絶えず変化する消費者や顧客の期待に迅速に対応できるように、より小規模なチームが協力することを目指す。

 チームメンバーに特定のタスクを割り当てるのではなく、各メンバーが職務を平等に分担することを促進する。このため、アジャイルチームのメンバーはいずれも、プロジェクトのあらゆる側面をいつでも処理できる。だが、個々のグループは分離されているため、組織内の横断的な取り組みが限定的になる恐れがある。

戦略とプロセスの違い

 DevOpsとアジャイルは、戦略とプロセスという点でも異なっている。DevOpsでは、生産性の向上と効率の最大化のために、自動化の方法論が採用されている。だが、アジャイルプロセスでは、自動化は重視されていない。ただし、出力の改善のために、自動化が採用されることもある。

 さらにアジャイルプロジェクトでは、DevOpsにはない「スプリント」という手法を採用する。タスクを短い反復可能なフェーズ(通常、1〜4週間)に分解し、この期間をスプリントと呼ぶ。各スプリントは、前のスプリントが終了すると直ちに始まり、割り当てられた職務が、徐々に完了していく。

 これに対し、DevOpsでは、守るべき期限とクリアすべき基準が設定された継続的デリバリー(CD)に従う。期限が1日以内や数時間以内である場合もある。

 DevOpsとアジャイルでは、戦略を実行するために採用されるツールも異なる。DevOpsでよく使われるツールには、「Jenkins」「CircleCI」「Azure DevOps Pipelines」などがある。アジャイルで人気のツールとしては、「MindMeister」「Aha!」「Trello」などが挙がる。

アジャイルとDevOpsではどちらが良いのか

 DevOpsとアジャイルを比較評価する上で理解すべき最も重要なことは、両者は相いれないものではないということだ。どちらか一方を選ぶ必要はないかもしれない。両者は異なっているが、組み合わせることで、より有益な結果を得られる場合がある。

 アジャイルは従来のウオーターフォールモデルに取って代わったが、DevOpsはアジャイルに代わるものではない。DevOpsは、アジャイルプラクティスを運用業務に取り入れることを目指しているという側面があり、アジャイルが先行して存在したおかげで台頭した。そのため、両者は共存することが可能であり、相乗効果も見込める。

 アジャイルとDevOpsのどちらかを選ぼうとするのではなく、両者を組み合わせて適用するとよい。そうすることが、それぞれの弱点を克服し、両者を最大限に活用する最良の方法になる。

 例えば、組織でDevOps文化を導入した上で、個々のチームがアジャイルアプローチを採用することで、前述したDevOpsとアジャイルそれぞれの制約を補うことが可能だ。

 最後にWhiteSourceは、アジャイルとDevOpsプラクティスを効果的に実行するには、セキュリティ意識が必要になると強調している。アジャイルとDevOpsサイクルにセキュリティを組み込むことで、ユーザー満足度の高い堅牢(けんろう)なアプリケーションを提供できるとしている。

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