「Windows 11」では開発者向けに何が強化されたのか、Microsoftが解説アプリの種類によらず、シームレスな開発エクスペリエンスを提供

Microsoftは、「Windows 11」における開発者向けの主な機能強化点を公式ブログで解説した。新しい「Microsoft Store」と、Webアプリケーションやネイティブアプリケーション開発の効率化、Fluentデザインシステムによるアプリケーションとエクスペリエンスの刷新が目玉だ。

» 2021年10月07日 16時00分 公開
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 Microsoftは2021年10月4日(米国時間)、同5日にリリースした「Windows 11」における開発者向けの主な機能強化点を公式ブログで解説した。新しい「Microsoft Store」と、Webアプリケーションやネイティブアプリケーション開発の効率化、Fluentデザインシステムによるアプリケーションとエクスペリエンスの刷新が目玉だ。

新しいMicrosoft Store

新しいMicrosoft Store(出典:Microsoft

 新しいMicrosoft Storeでは、開発者はコードや既存のインストールパッケージ(.msiまたは.exe)を変更することなく、ゲーム以外の従来型デスクトップアプリケーション(Win32アプリケーション)をストアに含めることができるようになった。このとき、必要に応じてアプリケーション内購入のための独自販売システムを導入して、全ての収益を自分で得ることも可能になった。

 さらに、開発者が自分のWebサイトでアプリケーションを提供している場合、新しい「ポップアップストア」機能を利用することも可能になる。顧客が開発者サイトでインストールボタンをクリックすると、Windowsの小さなネイティブダイアログが表示され、Webサイトを離れることなく、ここからMicrosoft Storeを通じたインストールを実行できるというものだ。開発者がこの機能を利用すれば、Microsoft Storeクライアントでもアプリケーションが公開されるため、顧客が検索してインストールすることも可能になる。

Webアプリケーション開発とネイティブアプリケーション開発の効率化

 開発者がどんなアプリケーションを作成する場合でも、シームレスな開発エクスペリエンスを提供するプラットフォームの実現を目指して、Windows 11は開発された。

 Microsoftによると、Windowsでの開発をより容易にするさまざまな措置が講じられている。

さまざまなカラーテーマによるMicrosoft Edge開発ツール(出典:Microsoft

 例えば、「WebView2」ランタイムがWindows 11に搭載された。Microsoftは「Microsoft Edge」Webブラウザとのハードリンクによって、WebView2アプリケーションのパフォーマンス向上やディスク占有量とメモリ使用量の削減、起動時間の短縮を可能にした。

 さらにプログレッシブWebアプリケーション(PWA)作成者のために、新しい標準ベースの実験的機能によって、デスクトップとの統合やユーザーエクスペリエンスを向上させている。

 開発者は、「Windows Terminal」やMicrosoft Edge開発ツールのテーマを使って、Windows 11のビジュアルエクスペリエンスに対応することもできる。

 一方、Windows 11に対応したネイティブアプリケーション開発をサポートする最新ツールである「Windows App SDK」(旧称:Project Reunion)や「WinUI3」を使えば、生産性を高く保ちながら、デスクトップアプリケーションを作成できる。

 「Windows App SDK 1.0 Preview 1」はさまざまな新しい開発機能を提供している。例えばMSAL(Microsoft Authentication Library)のサポートや、アクティベーションの処理やリダイレクトを担う「AppInstance API」、使用するUIスタックにかかわらずウィンドウを管理する「AppWindow API」、パフォーマンスや信頼性を高める機能などだ。

 この他、Windows 11では「Windows on ARM」上でのアプリケーション実行が容易になっている。既存のx64アプリケーションをエミュレーションによって実行したり、ARMデバイス上でのパフォーマンス最大化を求めて、アプリケーションをARM64向けにネイティブにコンパイルしたりできる。

 Windows 11で導入された「ARM64 Emulation Compatible ABI」(ARM64EC ABI)を使えば、ARM64ECコードとx64コードの両方を含んだり、ロードしたりするアプリケーションを作成できる。これにより、既存のx64アプリケーションから、ネイティブARM64アプリケーションへと、時間をかけて徐々に移行することが可能になる。

Fluentデザインシステムによるアプリケーションとエクスペリエンスの刷新

 Microsoftは、同社で構築されつつある製品のエコシステムに近づけるために、Windows 11でWindowsのデザインを一新した。

Microsoft Fluentデザインの概要 丸い角やアクリルやマイカ(雲母)といったWindows素材、新しいタイポグラフィやアイコンがある(出典:Microsoft

 Windows 11はモダンで美しく感じられるようにデザインされている。全てのUI要素で角が丸みを帯びるようになり、この細部の変更により、より親しみやすさが増し、アプリケーションが見やすくなっていると、Microsoftは述べている。これは開発者にとって、顧客のエンゲージメント向上に役立つという。

 Windows 11におけるビジュアルのアップデートの一部は、コードを変更しなくてもアプリケーションに継承される。だが、ビジュアルのアップデートの恩恵を全て受けるには、作業が必要になる。Microsoftは開発者に、次の3つの分野に重点を置くことを勧めている。

角が丸いUIの使用
一新されたカラーパレットと素材の使用
新しいタイポグラフィとアイコンへのアップデート

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