連載
» 2021年12月27日 05時00分 公開

僕は「内発的なモチベーション」に従ってモノづくりをしたいGo AbekawaのGo Global!〜Adrian Zulnedi編(後)(2/2 ページ)

[取材・文:阿部川久広(Go Abekawa), 構成:中村篤志,@IT]
前のページへ 1|2       

「内発的なモチベーション」を大切にしたい

阿部川 これからさまざまな知識を学び、経験を積んでいくと思いますが、将来やりたいことなどはありますか。

ズルネディ氏 IoT業界には携わっていたいと思います。これが作りたい、と決まったものはないのですが、何を作るにしても「内発的なモチベーション」(自分の中にある興味や意欲といった「やる気」を基にした動機)を大切にしたいです。

阿部川 内発的なモチベーション! 日本語の表現が多彩ですね。こうやってお話を聞いているとズルネディさんは言葉が本当に丁寧で、21歳の若者とは思えない語彙(ごい)力を持っていますよね。

ズルネディ氏 そうでしょうか。自分では普通だと思っているんですが(笑)。

 今興味があるものでいえば食品関係ですね。私はイスラム教なので戒律で「豚肉を食べること」は禁忌とされています。でも日本の食品の中には豚肉が混ざっているものが結構あって、食べられるものを探すのが結構大変です。もし「イスラム教用のコンビニエンスストア」などがあると魅力的ですよね。食品の管理をIoTでやれば効率化にもつながりますし。

阿部川 面白そうですね。IoTに限らず、ITと食品は意外と相性が良い気がします。ぜひ挑戦してみてください。食品以外で困ることはありませんか。

ズルネディ氏 困る、とまではいきませんが戸惑うことはよくあります。ご飯を食べるときにお祈りをしますが、家ならともかく、飲食店では他にやっている人がいないので恥ずかしくなることはあります。インドネシアではお祈りするのが当たり前なので。

阿部川 なるほど、日本はほとんどの人が無宗教ですからね。今はコロナ禍なので帰国は難しいと思いますが、インドネシアが恋しくなることはあるでしょう。

ズルネディ氏 そうですね、将来的には戻りたいと思っています。

阿部川 早く気軽に海外との行き来ができるようになるといいですよね。それまでは内発的なモチベーションに従ってさまざまなことを学び、チャレンジしてほしいと思います。ちなみに新しい技術や知識を学ぶときに気を付けていることはありますか。

ズルネディ氏 「必要だと思ったことに集中する」ことですね。本で例えると「この本を読んだら“ためになる”かな」とざっと目次を見て、違うと思ったらすぐやめて違う本を読みます。「全部はいらないけどここだけ必要だな」と思ったら1章分だけ読んだり複数巻の内の1つだけを読んだりします。必要だと思ったから読む、必要なかったら読まない、という感じです。

画像 自転車で箱根にいったときのズルネディ氏。いい笑顔!

阿部川 判断が明快なのですね。きっとそういったズルネディさんの長所をプラゴの大川社長は見抜いたのではないかと思います。

ズルネディ氏 最終面接で大川社長と会いました。私のような学歴もなくて、ましてや外国人なのに受け入れるというスタンスを持っている、そういうところがすごいと思いました。ありがたいです。

※ここで広報の方が「大川は以前、家業である大川精螺工業のメキシコ支社の立ち上げで苦労しており、その経験から学歴や国籍にこだわらない採用をしている」と補足した

阿部川 残念ながら学歴を気にする企業は多いです。ですが、これからは新しいことしか起こらないわけで、人を採用する立場なのであれば「この人は新しいことを学んで実行できるかどうか」という視点が重要だと思います。恐らく大川さんはそういうことは重々承知で、ズルネディさんの将来性を見抜いたのでしょう。これからもがんばってください。

インタビューを終えて Go’s thinking aloud

 21歳の彼は、Go Globalでインタビューしてきたエンジニアの中でもかなり若い分類に入る。父は日本に単身赴任していたから、ジャカルタで生まれてからの7年は母と兄弟だけで暮らしていた。ただ、インドネシアでは大家族の構成が多く、30〜40人もいるといういとこをはじめ、親戚があれやこれや面倒を見てくれたという。

 日本の小中高に通い、大学を受験したが不合格だった。自分のやりたいことをよく考えた結果、「大学に入ることが目的ではなく、モノづくりへの情熱を満たしたいのだ」と思い至ったとき、進学をあっさり諦めた。

 その代わりに、とにかくお金をためて次に備えようと思った。ユニクロで働き、そこで得たお金を使ってプログラミングを学んだ。現在勤務するプラゴの大川社長は過去の実績よりも、これからどれだけ新しいことを、自らの力で学ぶことができるかを評価した。良縁に恵まれたと彼は言う。

 当面の目標はITのエキスパートである父を超えることか。父はまだまだ越えさせてはくれないだろうが、父子鷹であることは間違いない。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。

ご連絡はこちらまで

@IT自分戦略研究所 Facebook@IT自分戦略研究所 Twitter電子メール


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。