JavaScriptの利用動向に関する年次調査「State of JavaScript 2021」の結果が発表された。回答数は1万6085件で、各種ライブラリ、機能(言語、ブラウザAPI、プログレッシブWebアプリ、WebAssembly)、他のツール、リソース、意見といったカテゴリー別に報告されている。
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JavaScriptの利用動向に関する年次調査「State of JavaScript 2021」の結果が発表された。同調査は2022年1月13日〜2月2日にオンラインで実施され、世界各国のJavaScriptユーザーから1万6085件の回答を得た。
同調査の目的はWeb開発エコシステムにおける今後のトレンドを把握し、開発者の技術選択を支援することだ。調査結果は、各種ライブラリ、機能(言語、ブラウザAPI、プログレッシブWebアプリ〈PWA〉、WebAssembly〈WASM〉)、他のツール、リソース、意見といったカテゴリー別に報告されている。
調査結果のハイライトは以下の通り。
5つの観点から、最も勢いのある機能やツールなどが選定されている。
「使用したことがある」回答者の割合が前年比で最も伸びた機能は以下の3つだ。
「今後も使用する」回答者の割合が前年比で最も伸びた技術は以下の3つだ。
満足しているユーザーの割合が最も高い技術は以下の3つだ。
「学習したい」と考えている開発者の割合が最も高い技術は以下の3つだ。
記述回答が最も多く寄せられた技術は以下の3つだ。
ライブラリの満足度(「また使用する」回答者の割合)について90%以上、80〜90%、60〜80%、60%未満の各グループ別にまとめられた結果は下図の通り使用率が10%未満のライブラリは含まれていない)。
各ライブラリは、フロントエンドフレームワーク、バックエンドフレームワーク、テストツール、モバイルおよびデスクトップ向け、ビルドツール、モノレポツールの6カテゴリーに分類されている。
満足度が90%以上であるライブラリのうち、ビルドツールのVite、esbuild、tsc CLI、Testing Libraryは、いずれも2020年以降にリリースされた新しいツールだ。名前が挙がったバックエンドフレームワークの「Next.js」は2018年、テストツールの「Cypress」は2019年にリリースされている。
次の図は満足度とユーザー数から、JavaScript技術を分類したものだ。縦軸で満足度、横軸でユーザー数を示している。
左上の「1」に含まれる技術は、ユーザー数は少ないものの、満足度が高く、知る価値がある。特に満足度が高いものとして、Vite、Testing Library、esbuild、「SvelteKit」(バックエンドフレームワーク)、「SWC」(ビルドツール)、Vitestがある。
右上の「2」に含まれる技術は、ユーザー数が多く、満足度も高く、安心して採用できる。tsc CLI、「Jest」(テストツール)、「Express」(バックエンドフレーワーク)、「React」(フロントエンドフレームワーク)、「webpack」(ビルドツール)が該当する。
左下の「3」に含まれる技術は、ユーザー数が少なく、満足度も低い。現時点では推奨しない。「WebdriverIO」(テストツール)、「Angular」(フロントエンドフレームワーク)、「Rome」(ビルドツール)、「Browserify」(ビルドツール)、「nw.js」(モバイルおよびデスクトップ向け)、「Cordova」(モバイルおよびデスクトップ向け)、「Ember」(フロントエンドフレームワーク)が該当する。
右下の「4」に含まれる技術は、ユーザー数が多いものの、満足度が低い。現在使っている場合は、再評価すべきだ。「Gulp」(ビルドツール)が該当する。
分野別のライブラリ使用率1〜5位を下表で示す。
ライブラリの分野 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
---|---|---|---|---|---|
フロントエンドフレームワーク | React | Angular | Vue.js | Svelte | Preact |
バックエンドフレームワーク | Express | Next.js | Gatsby | Nuxt | Nest |
テストツール | Jest | Mocha | Storybook | Cypress | Jasmine |
モバイルおよびデスクトップ向け | Electron | React Native | Cordova | Ionic | Expo |
ビルドツール | webpack | tsc CLI | Gulp | Rollup | Browserify |
モノレポツール | Lerna | Yarn Workspaces | npm Workspaces | pnpm | Nx |
(提供:State of JavaScript 2021) |
JavaScriptランタイムの使用率は下図の通りだ。
JavaScriptにコンパイルされる言語の使用率は下図の通りだ。
PWAとWebAssemblyの利用動向は下図のようになっており、経験者が徐々に増えていることが分かる。
JavaScriptの入門時に独習、無料オンラインコース、動画、書籍を利用して学習を始めた開発者が多い。
CSS-Tricks、Medium、Dev.to、Smashing Magazine、JavaScript Weeklyの人気が高い。
Stack Overflow、MDN、W3Schools、Web.dev、Udemy、freeCodeCampが高い支持を得ている。
JavaScriptで苦労している点は依存関係の管理、コードの設計、状態管理、デバッグを挙げた回答者が多い。
JavaScriptに欲しいと考える機能は静的型付け、標準ライブラリ、優れた日付管理、不変データ構造を挙げた回答者が多い。
今回の調査に対する回答が多かった上位5カ国は、米国(14.0%)、ドイツ(4.8%)、ロシア(4.5%)、フランス(4.2%)、英国(4.0%)で、日本からは206人(1.3%)が回答した。
回答者をJavaScriptの仕事や学習での経験年数別に見ると、5〜10年が23.2%と最も多く、次いで2〜5年が19.9%、10〜20年が19%を占めた。
回答者の年収別、勤務先規模別の内訳は下図の通り。
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