日本人は「できない」とは言わずに「ちょっと難しいですね」と言うGo AbekawaのGo Global!〜Rajesh Jayan(後)(1/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前回に引き続き、ミクステンドのRajesh Jayan(ラジェッシュ・ジャヤン)さんにお話を伺う。同氏がCTOとして大切にしていることとは何か。

» 2022年11月18日 05時00分 公開

 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回も「調整さん」でおなじみのミクステンドでCTO(最高技術責任者)を担うRajesh Jayan(ラジェッシュ・ジャヤン)さんにご登場いただく。エンジニア、マネジャー、そして経営とその役割を拡大させてきた同氏は、日本と海外との違いをどう考えているのか。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

スタートアップの不安を吹き飛ばした“社長の情熱”

阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 現在はミクステンドでCTOの役職に就かれていますが、ミクステンドに入社されたいきさつを教えていただけますか。

Rajesh Jayan(ラジェッシュ・ジャヤン 以降、ラジさん) それにはまず、来日したきっかけを説明する必要がありますね。ミクステンドに入る前にスタートアップを含むさまざまな企業で仕事をしていたことはお伝えしたかと思いますが、そうした仕事はずっとシンガポールでしていたんです。だから、シンガポールに住み始めてからかれこれ16年くらいたっていて「そろそろ別の国に行くのもいいかもしれない」と考えていました。そんなとき、妻と出会ったんです。妻は日本人だったものですから、これはもう日本に行くしかないだろうと(笑)。

阿部川 それで来日されたわけですね。北野社長には、どういうきっかけで出会ったのですか。

画像 ミクステンドで働くラジさん(中央)

ラジさん きっかけは調整さん(ミクステンドが提供するスケジュール調整サービス)です。来日した当初は、外資系の企業で仕事をしていました。でも、せっかく日本に来たのだから日本の企業で仕事がしたいとずっと思っていて、良い企業がないかとリサーチしていて(ミクステンドを)見つけたんです。調整さんはとてもシンプルな構造で、しかも人々が本当に困っていることを解決しているプロダクト(製品、サービス)だと思いました。それでインタビューに応募し、北野さんにお会いしました。

 当時(2019年)のミクステンドは北野さんと後一人のエンジニアがいるだけのスタートアップだったので、規模や現状についてはリスクが高いとは思いましたが、北野さんは製品にとても強い情熱を持っていました。かねて、事業を行うには情熱が大切だと考えてきましたから、「これは大丈夫そうだ」と思いました。

阿部川 一般的に「スタートアップに入るのはリスクが高い」と言われがちですが、そのリスクより、北野さんの情熱が勝っていたのですね。

ラジさん その通りです。当時ミクステンドは新しいプロダクトを開発して世に出そうとしていました。通常の企業でなかなか新しいプロダクトの開発はできません。それがスタートアップの非常にユニークな点だと思うのです。アイデアから実際のプロダクトを造り、それを市場に出して世界中の人が使うようになる。こんなに満足できる仕事はないと思いました。


編集中村 編集 中村

 もしかしたら、多くの検討の重ねた結果なのかもしれませんが、ラジさんの人柄を見ると、きっと本当に「情熱に引かれた」のが一番大きな要因だと思えます。インタビュー中も、ラジさんの好奇心というか、「この先、どんなワクワクがあるんだろう」といった気持ちを強く感じました。


阿部川 ミクステンドに入社された当初はどんな風にお仕事されていたのでしょうか。

画像 阿部川 “Go”久広

ラジさん 最初は調整さんをリクルートからミクステンドに引き取る仕事が中心でした。調整さんはもともとリクルートのプロダクトで、北野さんがインターン時代に開発に携わっていました。ただ北野さんが関わっていたとはいえ、引き取るまでは苦労がありました。

 調整さんはさまざまなエンジニアが関わっていましたから、実際にコーディングを担当した当時のエンジニアがはっきりしなかったのです。誰に聞いたらいいかも分からない状態でしたから、地道に一つ一つコードの中身を確認しなければなりませんでした。他にも、イベントが一気に増え、利用者が増える繁忙期に備えてスケーリングの対応もしなければならないし……といった具合に、入社した当初は幾つもの問題に対処していました。

阿部川 大変でしたね。調整さんが落ち着いた後は新製品の開発に着手できたのでしょうか。

ラジさん はい。「TimeRex」というプロダクトを開発しました。ブレーンストーミングを何度も何度も行い、議論し、プロトタイプを作ってフィードバックをもらいリバイズする。それを繰り返してようやくリリースまでこぎ着けました。

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