デスクトップアプリとしての「Internet Explorer」が2023年早期にいよいよ完全無効化、その後はどうする?企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内(1)

Microsoftは、Windows 10(LTSCを除く)におけるデスクトップアプリとしての「Internet Explorer(IE)」の完全無効化を、2023年2月の定例更新(Bリリース)で実施することを発表しました。

» 2022年11月29日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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「企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内」のインデックス

企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内

Windows 10におけるIEのサポートは既に終了

 Microsoftは「2022年6月15日」をもって、「半期チャネル(SAC)」の「Windows 10」(バージョン21H2以降は「一般提供チャネル(General Availability Channel)」)におけるデスクトップアプリとしての「Internet Explorer(IE)」のサポートを終了しました。しかし、以下の記事で言及したように、IEの無効化はまだ実施されていません(画面1)。

画面1 画面1 デスクトップアプリのIEの使用は、2022年6月に終了しているが、アプリが削除されたり、無効化されたりしたわけではない

 Microsoftは2022年10月末、Windows 10のデスクトップアプリとしてのIEを「2023年2月」の定例のセキュリティ更新プログラム(2023年2月のBリリース)の一部として無効化することを発表しました。

 この変更は、「2023年1月17日」に予定されているオプションの更新プログラム(更新プログラムのプレビュー、1月のCリリース)として先行的に提供され、2月のBリリースで広範囲に実施されることになります。

 Windowsの更新プログラムは累積的であるため、2023年1月のCリリースや2月のBリリースをインストールしなかったとしても、IEの無効化はその後のBリリースやCリリースにも含まれる形で実施されることになります。なお、この措置が実施されると、IEがデスクトップアプリとして起動しなくなりますが(代わりに「Microsoft Edge」が起動する)、IEのバイナリ(「C:\Program Files\Internet Explorer\iexplore.exe」など)が削除されることはありません。

2022年内にEdgeまたは「EdgeのIEモード」への完全移行を!

 Microsoftは、IEを必要とするレガシーなWebアプリやサービスに対して下位互換性を提供するために、Microsoft Edgeに「IEモード」を搭載しています。IEの無効化が何らかのレガシーシステムに影響する場合、IE以外のモダンブラウザで利用できるようにシステムを刷新することが望ましいのですが、それができない場合は、IEモードの利用を早急に検討してください。

 IEモードについては、以下の記事で取り上げてきました。Microsoftは少なくとも2029年までIEモードをサポートします。IEモードが廃止される場合は、廃止の1年前に発表されることになっています。

LTSCに残るIEのサポート期間

 IEの無効化が広範囲に実施される2023年2月のBリリースの1カ月前、1月のBリリースは、「Windows 7」の「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」の3年目が終了する日、および「Windows 8.1」の延長サポートが終了する日と重なります。

 Windows 8.1については、ESUの提供はありません。そのため、2023年2月のBリリース以降は、汎用(はんよう)向けのデスクトップOSで、IEを継続して利用できるWindowsは存在しなくなります。

 IEの無効化は、特殊用途デバイス向けの「長期サービスチャネル(Long Term Servicing Channel、LTSC)」のWindows 10、およびWindows Serverは対象外です。「Windows 11」は、出荷時からデスクトップアプリとしてのIEが無効化された状態です。

 2023年2月のBリリース以降もIEが利用可能で、かつMicrosoftによるサポートが提供されるデスクトップ環境としては、以下の表1に示すものが残ります(画面2

Windowsのバージョン サポート期限 備考
Windows Server 2022 2031年10月14日
Windows Server 2019 2029年1月9日
Windows Server 2016 2027年1月12日
Windows Server 2012 R2 2023年10月10日 最大3年間(2026年10月13日まで)のESU提供あり
Windows Server 2012 2023年10月10日 最大3年間(2026年10月13日まで)のESU提供あり
Windows 10 Enterprise LTSC 2021 2027年1月12日 メインストリームサポートのみ、延長サポートなし
Windows 10 Enterprise LTSC 2019 2029年1月9日
Windows 10 Enterprise LTSB 2016 2026年10月13日
Windows 10 Enterprise LTSB 2015 2025年10月14日
表1 2023年2月のBリリース以降もIEが利用可能なWindows
画面2 画面2 現状、最も長くIEがサポートされるWindows ServerとLTSC版Windows 10

 これらのWindowsでは、OSのライフサイクル期間中、デスクトップアプリとしてのIEがサポートされる予定です。

 現在、サポートされているのは、Windows Serverでは「Windows Server 2022」(OSビルド20348)の「2031年10月」まで、LTSC版Windows 10では「Windows 10 Enterprise LTSC 2019」(OSビルド17763)の「2029年1月9日」までが、最も長くデスクトップアプリとしてのIEがサポートされるデスクトップ環境ということになります。Windows 10 Enterprise LTSC 2021(OSビルド19044)は、5年のメインストリームサポートのみが提供され、延長サポートは提供されません。

最新情報(2022年12月20日追記)

 当初、IEの無効化は2023年2月のWindowsの累積更新プログラム(Bリリース)で実施されるとされていましたが、2022年12月16日(米国時間)に、Windows Updateではなく、2023年2月14日に予定されているMicrosoft Edge Updateを通じて行われることが発表されました。


筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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