オロは、システム導入の「意思決定プロセス」に関する実態調査の結果を発表した。システム導入の意思決定がスムーズにいかなかった理由として「部門間の意思調整に時間がかかる」「既存システムが古過ぎて分かる人がいない」などが挙がった。
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オロは2022年12月19日、システム導入の「意思決定プロセス」に関する実態調査の結果を発表した。この調査は、1000万円以上のシステムを業務で導入したことがある課長や部長、経営者、役員を対象に実施し、515人から有効回答を得た。
基幹系や情報系などのシステムを導入するきっかけについて聞くと最も多かったのは「ボトムアップ(現場からの提案)」で57.1%。「トップダウン(代表からの指示)」は29.9%、「社外要因」は8.7%だった。システム導入の検討を始めたきっかけについては「生産性向上の機運が高まったから」が最も多く、40.2%(複数回答、以下同)。次いで「既存システムやサーバの保守が切れたから」(32.5%)、「働き方改革の機運が高まったから」(27.9%)、「事業規模が拡大したから」(23.2%)など挙がった。
どのくらい前からシステム導入を進めたかを導入プロセスごとに聞いたところ、「導入についてなんとなく考え始める」のが(システム導入の)1年前、「プロジェクトの発案」「自社要件の整理」が6カ月前、「利用製品の選定」「ITベンダーの営業提案を受け始める」が3カ月前、「情報収集や検討資料の作成」が2カ月前、「導入委託先と購入先の選定完了」が1カ月前という回答が、それぞれ最も多かった。
各プロセスに費やした時間について聞くと、「プロジェクトの発案」と「情報収集や検討資料の作成」が11〜20時間、「自社要件の整理」「利用製品の選定」「導入委託先や購入先の選定」が21〜30時間という回答がそれぞれ最も多かった。一方で、各プロセスに101時間以上かけている企業もある。プロジェクトの発案では12.0%、自社要件の整理については14.4%、情報収集や検討資料作成は13.8%、利用製品の選定では12.1%、導入委託先や購入先の選定については12.4%となっており、オロは「自社要件の整理に比較的時間をかけている」と分析している。
導入製品の選定に当たって比較した製品数では、「2〜3製品」(43.1%)との回答が最も多く、次いで「4〜6製品」(27.8%)、「7〜10製品」(8.3%)と続いた。製品の選定に最も影響したことについて聞くと「自社の事情に合ったシステムかどうか」と回答した人の割合が最も高く20.1%(複数回答、以下同)。次いで、「課題が解決できるか」が16.1%、「導入実績」が7.7%、「費用対効果を現したデータ」と「アフターサービス」についてはどちらも7.1%だった。
システム導入の意思決定はスムーズに進んだかどうかを聞くと「スムーズだった」が62.8%、「スムーズではなかった」が32.4%。スムーズではなかった理由を聞くと「部門間の意思調整に時間がかかりすぎる」「目標があいまい」「既存システムが古過ぎて、分かる人員がいなかった」「進める意識より、問題の深掘りに多くの時間を要している」「要件定義が不十分だった」「委託先に対する評価が分かれる」といった意見が挙がった。
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