参考までにポイントベース的なアプローチで考える場合についても記します。
ポイントベース的なアプローチは、何から試してみるかの取捨選択が必要です。優先順位の判断には、例えば「優先度・重要度」といった2次元マトリクスを組んでみて判断する方法などが考えられます。ここでは、『レガシーソフトウェア改善ガイド』(翔泳社)の「リスク・難度・価値」という3次元で考え、「手が届く果実」から実施することを紹介します。
レガシーソフトウェア改善ガイドでは、リファクタリングをどこから理解するかという文脈で「リスク・難度・価値」を記した下記の図が紹介されており、その中で、リスクと難度がどちらも低い「手が届く果実」を「手始めに最適」としています。
家事の改善にも、リファクタリングと似ているポイントがあります。
整理すると、手の届く果実であるとして、ピーラーなどの導入や夕食の作り置きサービスなどから始めることにしようと判断できます。
さて、話をセットベース(つまり全部試してみる)に戻します。実際に試してみたところ、下記の学びがありました。
. | 自分に合っていた点 | 自分に合わなかった点 |
---|---|---|
家事代行 | ・自分が作るよりも圧倒的においしい ・調理の仕方そのものが非常に参考になる(別記事でkwsk) |
・自分に正しく要求をお願いできる力がない(例えば、長男はトマトを加熱した料理が苦手で、子どもが大好きな定番煮込みハンバーグが食べられないことを、作ってもらってから知るなど) |
朝の献立のルーティン化+簡素化 | ・ヨーグルト、乳酸菌飲料、ベーコンエッグを定番化し、大幅な手間の貢献に寄与した | ・献立にたどり着くまで結局ある程度時間がかかった、また、予定外の事象に意外と弱い |
調理の工夫 | ・コストは低い ・りんごの皮むきなど、調理のリードタイムの短縮に寄与 |
・複数のピーラーなどを用意することから、置き場所の問題が発生 |
調理済みの食材を配達 | ・家事代行よりも手間が少ない(個別のお願いをする部分や、調理器具の置き場所をレクチャーするなど) | ・レシピが選べないので、子どもが食べられないものが来ると厳しい戦いを強いられる |
カット野菜の配達 | ・面倒な野菜千切りの手間が省け、便利 | ・繰り返すと飽きが来てアレンジが必須になり、結果としてトータルのリードタイムが変わらなくなる |
出前 | 検証せず | 検証せず |
これらの検証を実施したところ、自分には下記の方法と相性が良いという結論に至ったので、実践することにしました 。妻の留学開始後1カ月以内にこの方法を「型化」できたので、対応リードタイムも悪くなかったと考えています。
さまざまな解決法をやってみた結果、食事の準備はある程度回せるようになりました。しかし、予想していない部分で意図しないトラブルは起きるもの。私は当初意図していなかったポイントで「もうウンザリです。何も改善できません」(※3)という絶望感あふれる状態になりました。
次回は「何がおきたのか」と「その対処」を考えます。
リクルート所属。
HR領域のエンジニア組織のグループマネジャーとして、タウンワークをはじめとしたサービスの開発を担っています。並行して、妻の海外留学を経験し、そこで得た知見を社内外で発表しています。また社外では、TDDBCなどのコミュニティー運営にも携わっており、著作として『エキスパートが教えるSelenium最前線』(共著)があります。
Twitter:PoohSunny
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
自分戦略研究所 記事ランキング