OutSystemsはクラウドネイティブなローコード開発ソリューション「OutSystems Developer Cloud」のグローバル提供を発表した。
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OutSystemsは2023年2月22日(米国時間)、クラウドネイティブなローコード開発ソリューションである「OutSystems Developer Cloud」(以下、ODC)のグローバル提供を発表した。
OutSystemsは同日に、クラウドネイティブの開発インフラストラクチャをゼロから構築する際の費用と人員課題を分析した調査「クラウドネイティブ開発レポート:所有コストの高騰」を発表。この調査によると、従来のクラウドネイティブ開発手法の総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)は平均して560万ドルで、開発期間は18カ月かかるという。この高いTCOを省コスト化するのに、ODCが効果的だという。
OutSystemsは、クラウドネイティブのアプリケーション開発インフラストラクチャを構築しスケーリングする際のコストや、新しいプラットフォーム上で最初のアプリケーションを構築する際のコストを分析し、TCOを算出した。また、同時に必要なクラウドネイティブの専門知識を持つチームを構築するための分析も実施した。それによると、TCOは次の2つのフェーズに分けられる。
企業はクラウドネイティブのインフラストラクチャを立ち上げるために平均して270万ドルを支出する。これらのコストには、ゼロから構築したクラウドネイティブのインフラストラクチャの設計、構築、管理、保守およびスケーリングが含まれる。ツールやサービスに関連するコストは、このフェーズのコストの21%に相当する。複雑性のため、アーキテクトや開発者などのクラウドネイティブの専門家を採用することも高コストにつながる。これに給与コストが加わり、このフェーズにおける総コストの79%を占める。
企業は新しいインフラストラクチャ上で最初のアプリケーションを構築するために平均して290万ドルを支出する。これらのコストには、12カ月のアプリケーション開発のタイムラインの保守的な見積もりと、従来のコーディングによるアプリケーションの構築に必要な労力およびそれらの新しいクラウドネイティブアプリケーションをサポートするための基盤インフラストラクチャの拡張と保守が含まれる。これらのコストには、社内の開発者のトレーニングやスキルアップも含まれる。
クラウドネイティブのインフラストラクチャ環境を構築する最初のフェーズの高コストは、そのような専門的なスキルを持つチームを構築するための採用、オンボーディングコストが原因の一つだ。採用が困難で高レベルの給与を要求するスキルには、Kubernetes、マイクロサービス、クラウドネイティブサービスアーキテクチャ、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)、DevSecOpsなどが挙げられる。採用エージェントなどの手配や新しい雇用者の面接、サポートに費やされる時間も、TCOの高さの一因だ。専門家チームが組織された後にも、数十にも上る新しいサービスやテクノロジーを統合するための労力が必要なフェーズなどが総コストを上げる要因となる。
「クラウドネイティブアプリケーションは、レガシーソフトウェアに比べて明らかな優位性を持っている。クラウドネイティブアプリケーションは、市場に対してより迅速に応答し、優れたユーザーエクスペリエンスを提供し、優れたスケーラビリティと耐久性を提供する」と、同社CTO(最高技術責任者)のパトリック・ジーン氏は述べる。「しかし、この変化は伝統的なソフトウェア開発プロセスの大改革を意味しており、ほとんどの企業では、これに対応するための準備ができていない。高性能なローコードソリューションは、プロセス全体を劇的に加速する方法を提供すると同時に、開発者の負担を軽減しTCOを最小限に抑える方法を提供する」(ジーン氏)
OutSystems Developer Cloud(ODC)は、高性能なクラウドネイティブアプリケーションをローコードで構築できる業界初のソリューションだとOutSystemsは言う。ローコードの生産性と、戦略的でミッションクリティカルなクラウドネイティブアプリケーションを構築するために必要な重要な機能を組み合わせているという。
ODCは、Kubernetes、Linuxコンテナ、マイクロサービス、サーバレス、AWS(Amazon Web Services)ネイティブクラウドサービスを含む最新のアーキテクチャに基づいて構築されており、データやコンピューティングからセキュリティやネットワーキングの課題に対処できる。
OutSystemsは「ODCを使用することで、顧客は数億人のユーザーにスケーリングされるアプリケーションを迅速、安全に構築できる」としている。ODCはOutSystemsプラットフォームで提供され、グローバルで利用可能だ。
同社は、「クラウドサービスの複雑性と多様性の急激な増加により、典型的なクラウドネイティブインフラストラクチャをゼロから実装するには数カ月から数年、数百万ドルが必要になる場合がある。そして、その実装を開発者が最初のアプリケーションを構築する前に全て完了する必要がある。クラウドネイティブに適した高性能なローコードソリューションは、組織が開発者の生産性を大幅に向上させ、クラウドネイティブアプリケーションをゼロから構築するために数百万ドルを費やすことを回避するのに役立つ」と述べている。
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