「仕事が『つまんない』ままでいいの?」の竹内さんに聞く、「これからの働き方」仕事が「つまんない」ままでいいの?(100)(2/3 ページ)

» 2023年04月12日 05時00分 公開
[竹内充彦@IT]

人脈とは何か

竹内義晴さん NPO法人「しごとのみらい」理事長 2017年より「サイボウズ」で複業をスタート

 「人との知り合い方」や「人脈の築き方」をテーマにした回には、竹内さんの経験が反映されている。

 エンジニアは技術力さえあれば人脈など必要ないと考える人がいるかもしれないが、そうではないことを竹内さんは経験から学んだ。長年勤めた会社を辞め、独立したばかりのころだ。

 「独立当初は、技術力さえあれば飯を食っていけるものだとばかり思っていました。しかしフリーランスになって、本当に一人になったときに初めて、技術力だけでは仕事を得られないことを悟りました」

 しかし、やみくもに人脈を広げればいいという話ではない。広げた人脈をどう仕事につなげていくかが肝心だ。誰とつながりたいのか、どのような仕事をしたいのかを、きちんと考えておかないと人脈を築くことそのものが目的になってしまい、「友達100人できました」「だから何?」ということになりかねない。

 「経験上、目先の利益だけを求めて人脈を広げようとしても、結果につながらなかったことが多いんですよね。人脈を築くのが目的の“ナントカ会”みたいな交流会に参加しても、ほとんどの場合は名刺交換だけで終わってしまいます。出会いが仕事になるには長い時間がかかります。一度名刺交換しただけで仕事になることはごくまれで、その後、時間をかけて信頼関係を醸成していくことが大切です」

 どのような相手と深くつきあっていくべきかの基準を持つことも大切だ。竹内さんの場合は、「理想が合うかどうか」を目安にしているという。

 「そもそも何のため取り組んでいるのかという認識を互いに共有していないと仕事はうまくいきません。『今度こういうことやろうと思っているのですが、どうですか』『いいですね、それならこうしてみましょうか』というように、互いの理想が合っていると、自然に話が進んでいきます。そうした人脈をいかに築けるかがフリーランスとして持続的に活躍していくときのポイントではないかと思います」

複業をお勧めする人、しない人

サイボウズで複業中の竹内さん

 キャリアの次の選択肢として、転職や起業、フリーランスという道を考えている読者もいるだろう。しかし、いきなり今までと全く異なる働き方をするのは勇気がいるし、大きなリスクも伴う。

 そういうときの選択肢として近年注目されているのが複業だ。転職したけれどうまくいかなかった、起業したけれども食っていけなかったというイチかバチかという世界ではなく、今の環境に軸足を置きつつ複業で新しいことにチャレンジすることで、キャリアの幅を広げられるからだ

 自身も複業でキャリアを広げた竹内さんは、全ての人に複業をお勧めする……というわけではなさそうだ。

 「あくまでも『したい人はどうぞ』というレベルです。転職や起業ではなく、今の仕事の延長上で幅を広げていきたいという人にもお勧めします。また、それほど明確に将来のキャリアを描いていなくとも、漠然と将来に不安を感じている人ならば、一つの選択肢として複業はありだと思います」

 では、「残業が減ったから、残業代の穴埋めとして」などの経済的な理由でする複業はどうだろう。

 「そういう人は残業代がなければ生活が成り立たないということですから、今の仕事、今の生活も含めて考え直した方がいいでしょう。いずれにしても、お金だけを目的に複業をするとつらくなります。でも、仕事がつまらない、何かを変えたいという人にとって複業は一つの解です」

 では、「何かを変えたい」と気付いた人は、何から始めればいいのだろうか。竹内さんは、「まず自分のことを言語化すること」だという。

 「複業を始めたいと考えているのに、職務経歴書に5行ぐらいしか書いていない人が結構いるんです。『もったいないなあ』と思ってしまって」

 こういう人は本当に書くことがあるのに、自分の評価をきちんとできていないだけなのではないか、というのが竹内さんの考えだ。

 「残念なのは自分で自分を実力よりも低く評価している人がいることです。第三者から見ればものすごいスキルやキャリアを持っている人でさえ、職務経歴書に書けていません。そのままだと、はじめの一歩が踏み出せません。仕事を探すだけでなく『私はこういう人です』と、外に向かって正しく発信できることが大切です」

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