8年前の連載スタート時に比べると起業や複業がしやすくなり、遠隔地に住んで仕事をするハードルも下がるなど働き方の多様性が広がった。定年延長や定年後再雇用制度も普及し始め、今まで以上に長い目で将来のキャリアを見据える必要もありそうだ。
「僕も50歳になって見える世界が変わりました。それまでは『50代っておじさんの世界』だと思い込んでいましたが、いざそっち側に足を踏み入れてみたら、思っていたのとは違いました」
以前なら、「定年まであと10年」というイメージだったが、65歳定年ならあと15年、いや、もしかしたらもっと先まで見据えなければならないかもしれない。
「未来は案外、確実なものではないぞということです。しかも人生はいつまで続くか分かりません。それだけに、ちゃんとしとかないとな、と真面目に思いました。現状、自分が80歳になって働いているイメージは湧きません。しかし、これから100歳まで生きるのが当たり前の世の中になるなら、そのための準備をしておきたいし、年齢を重ねても楽しく働いていたい。そのためにも、周囲からいろいろなことを頼まれるようにしておくことが必要かもしれません」
年齢を重ねていっても何かを頼まれるようになるのは、なかなか難しいことだ。そこで竹内さんが好例として紹介するのは、サイボウズのイベント「kintone hive tokyo 2022」に登壇した「kintoneおばちゃん」こと根崎由以子さんだ。
根崎さんは、定年後の再雇用期間中に出会ったkintoneを触っているうちに、それまで仕事の課題と感じていたことをkintoneならコードを書くことなく解決できることを知る。それが面白くなってkintoneにハマってしまい、そこから数々の業務を改善し、現在もなお活躍中という知る人ぞ知る人物だ。
「人が行動を起こすのは『本当にこのままじゃヤバい』という状況に陥ったときです。しかし、いざそうなってからでは打開策を講じるのもツラいので、そこまで没落する前に、ほんの少しでも準備をしておくことが大切なんじゃないかと思います。できれば、楽しみながら行動に移せるのが理想的ですね。その行為が僕の場合は文章を書くことでしたし、kintoneおばちゃんの場合は、kintoneを触ることだったのだと思います。その人なりの楽しみ方を見つけるといいのでしょうね」
働く期間が長くなるにつれ、仕事や働き方に関する課題も増えていくことは想像に難くない。これまで課題にならなかったことが新たな課題として目の前に立ちはだかることもあるだろう。
「その人の課題のタネは、その人の目の前にあります。あなたが何を課題として捉え、どう解決しようとするのかは分かりませんが、僕は文章を書きます。その時々で感じるモヤモヤとしたものを、これからも連載にぶつけていきます。それが、あなたの目の前の課題を解決するヒントとして、少しでも役立つことを願っています」
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