阿部川 何人くらいのチームで仕事をされているんですか。
マルビンさん 10人前後のチームでやることが多いです。チームのメンバーはそれぞれが案件を持っていますので、それらの業務をこなしつつ、開発をしています。データ分析のために、お客さまの環境からログデータを取得する仕組みを構築したり、ログデータをエルテスのサーバに送信する仕組みを作ったり。他にもログデータを基に内部不正のリスクを抽出するアルゴリズムを組むこともあります。
阿部川 チームの中には日本人のエンジニアもいると思いますが、こういう点が違うな、いいな、と感じる点はありますか。
マルビンさん そうですね、基本的にですね、今までに一緒に働いてきた日本人は丁寧な方が多いですね。業務のフローに沿った仕事を丁寧にやってくださるような、そういったところがあるので新しいプロジェクトでも社内の状況が予想しやすい。だから、一緒に働きやすいと感じます。ただ比較的、控えめな方が多いですね。新しいプロジェクトを進めましょうとか言い出すのは、大体外国人になるんではないかとは思います。
阿部川 今控えめと言ってくださいましたのでどうしようかなと思ったんですけど、良いところって悪いところの裏返しになりますよね。フローがしっかりしていて、丁寧だっていうのは、細か過ぎるってなるでしょうし。
マルビンさん そうですね、ただ自分としては働きやすいです。自分も丁寧な方なので、そういった環境には合っているのと思います。逆に海外だったら「君、細か過ぎるよ」と言われていた気がします。
阿部川 セキュリティの業界ですから細かく、丁寧でなければ駄目ですよね。とはいえ「こうすればもっと良くなるのに」ということもあるかと思います。日本のエンジニアに向けて、マルビンさんからのアドバイスいただけますか。
マルビンさん 1つ、ございます。「新しいことを恐れないで」ということです。どんどんチャレンジして、目標に向けて動いていくことが大切です。それだけが成長の種です。そうした姿は他の方の憧れにもつながるので“生産性の連鎖”も作れます。何も恐れずに、新しいことにどんどん飛び込んでいくような姿勢を持って、それで世界に貢献しましょうよ。これがアドバイスになります。
面倒見が良いのは、精神的な病気をわずらっている知り合いのことを気遣ってというのが最初だったかもしれないが、そのままそれが習い性になった。だがインタビューをしていて、おそらくそれは生来のものなのではないかと感じた。とにかく他者のために仕事がしたいという思いが、言葉の端々に感じられたからだ。この人と話していると爽やかな気持ちになる。だからこちらも何かしてあげたくなる。まさに「情けは人のためならず」。
何より日本語が丁寧だ。昨今、「やらせていただく」や「千円からいただきます」などの、一見丁寧な日本語の間違いも指摘されてはいるが、基本的に相手を気遣う視点からの表現だし、結局言葉は変化し、進化していく。丁寧さの形式は、少し大目に見てもらえないか。少なくとも、何も言葉がないことや、ぶっきら棒よりは格段に良い。
そして、日本人は新しいことを恐れるな、とまた言われた。なぜ私たちは新しいことをここまで恐れるのだろう。失敗が怖いのは当たり前として、失敗とは何かを考えると、人生の中でそれほどまで取り返しのつかない失敗は少ない。同時に、失敗をことさら責めるのもそろそろやめにしないか。新しいことに多少の失敗はつきもので、いちいち言挙げされれば、やる気もしぼむ。もう一つ、「失敗=悪い」もやめよう。「ChatGPT」に「失敗とは何か」を尋ねてほしい。「失敗から学び、前進することが大事」と、わざわざ言ってくれる。
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