Microsoftは「Microsoft Entra」製品ファミリーに、新しいレベルのネットワークセキュリティを提供する2製品「Microsoft Entra Internet Access」と「Microsoft Entra Private Access」を追加し、プレビュー提供を開始しました。
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Microsoftが提供するアクセス管理やID管理などの製品群「Microsoft Entra」ファミリーは、以下の製品で構成されます。
このうち、「Microsoft Entra IDガバナンス」の一般提供が2023年7月14日(米国時間、以同)に発表されました。この製品は、自動化されたエンタープライズレベルのIDのライフサイクル管理を提供するもので、企業や組織のIDライフサイクル管理を刷新し、セキュリティ態勢を高めます。
Microsoftは2023年7月11日に、Microsoft Entra製品ファミリーに以下の2つのネットワークアクセス製品を追加し、プレビュー提供を開始しました。
プレビュー提供が開始された「Microsoft Entra Internet Access」と「Microsoft Entra Private Access」は、「Global Secure Access」(セキュリティで保護されたグローバルアクセス)とも呼ばれる、「Microsoft 365」やその他のSaaS(Software as a Service)アプリへのアクセスに対するセキュリティ保護に重点を置いたセキュリティサービスエッジ(SSE)ソリューションです。
これらの製品の管理は、「Microsoft Entra管理センター」の「セキュリティで保護されたグローバルアクセス(プレビュー)」ツールに統合されています(画面1、画面2)。
Microsoft Entra Internet Accessは、インターネットの脅威からユーザー、デバイス、データを保護しながら、Microsoft 365、SaaS、その他のインターネットアプリへのアクセスをセキュリティ(Microsoft Entra IDの条件付きアクセス、専用トンネルなど)で保護します。
現在、Microsoft 365アプリへのアクセスの保護をパブリックプレビューで利用できます。ユーザーは、専用のクライアント(Global Secure Access Client、画面3)を使用するか、構成されたリモートネットワーク(現時点ではUSおよびEUのみ)からアクセスでき、「条件付きアクセスポリシー」によってアクセスが許可されます。また、ID中心でデバイスに対応するクラウド配信セキュアWebゲートウェイ(SWG)を経由するアクセスについては、プライベートプレビュー段階にあります。
もう1つのMicrosoft Entra Private Accessは、非公開の企業リソースへのセキュリティで保護されたアクセスをユーザーに提供します。アクセスのセキュリティ保護は、「Microsoft Entra IDアプリケーションプロキシ」(旧称、Azure ADアプリケーションプロキシ)の機能をベースにしており、全てのプライベートリソース、ポート、プロトコルへのアクセスに拡大されています。ユーザーは、VPN(仮想プライベートネットワーク)接続や専用クライアントを必要としません。ただし、現時点では専用クライアント(Global Secure Access Client)のインストールが必要です。
Microsoft Entra管理センターにある「セキュリティで保護されたグローバルアクセス(プレビュー)」の「ダッシュボード」では、ユーザーやデバイスの接続状況を可視化して把握できる他、詳細な転送ログを参照することができます(画面4、画面5)。
2つの新製品は、VPNといった従来のリモートアクセスを置き換える、ゼロトラスト原則で“ID中心”のシームレスなセキュリティソリューションです。プレビュー期間中は機能が制限され、実運用環境では使用できませんが、今後ますます増えるSaaSの利用、多様化する働き方、そして新たな脅威に対抗する次世代のリモートアクセス手段として期待できます。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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