カリフォルニア大学サンタバーバラ校で教授を務めるヤサミン・モストフィ氏の研究グループは、静止する物体の形状をWi-Fiを活用して画像化する技術を発表した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校で教授を務めるヤサミン・モストフィ氏らの研究グループは2023年9月11日(米国時間)、Wi-Fi信号を使用して静止する物体の形状を画像化する技術を発表した。研究グループによると、同技術を使用することで壁越しのアルファベットを画像化して読み取ることにも成功したという。
モストフィ氏らの研究グループは、2009年以降、群衆分析、人物識別、スマートヘルス、スマートスペースなどさまざまアプリケーション向けにWi-Fiのような身近にある無線周波数信号を活用したセンシング技術の研究を進めており、今回の発表はこれらの研究に基づいているという。
モストフィ氏は次のように述べている。
「物体の端に特定の波が当たると、ケラーの幾何光学的回折理論(GTD)に基づいて、光のような波が円すい状に広がる現象が起こる(「ケラー円すい」〈ケラーコーン〉とも呼ばれる)。この円すい状の波は、物体の端の向き次第で異なる形になる。ケラー円すいの形状を手掛かりに、物体の端の向きを数学的に推定し、物体の形を明確に画像化する」
研究グループは、市販のWi-Fi送信機3台から送信させた信号を、移動する無人車両に搭載された受信機で取得し、信号の強さを元に物体の画像を生成できるか実験した。さまざまな場所や条件でテストした結果、壁越しでも物体の形や文字を正確に画像化できたという。
カリフォルニア大学は、研究グループの発表が、無線周波数を使用したイメージング技術として新しい方向性を切り開くものだとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.